
評価: 7点
Story
すべての事の始まりは、とある夏の夜、ひとりの年老いたホームレスが首に大ケガを負い、誰にも助けてもらえずソウル駅で息絶えたことだった。すると、そのホームレスは地獄の淵から甦ったかのように凶暴化して復活。それをきっかけに未知のウイルスに感染して豹変した人々が、街のあちこちで正常な市民に猛スピードで襲いかかり、無差別に噛みつく事件が続発する。その異常な状況に巻き込まれた元風俗嬢のヘスンは、感染者の数が急激に膨れ上がる深夜のソウルの街をあてどなく逃げまどうはめに。その頃、ヘスンの恋人と父親は必死に彼女を捜し回っていたが、警察はまったく事態を把握できず、遅ればせながら出動した軍隊は一般市民を暴徒と見なして発砲。やがて、ただ「家に帰りたい」と願うヘスンの身に、さらなる非情な運命が降りかかるのだった……。 Filmarksより
 『新感染 ファイナル・エクスプレス』の前日譚!映画『ソウル・ステーション/パンデミック』予告編高速鉄道車内で発生した感染爆発の恐怖を描く韓国製ゾンビホラー『新感染 ファイナル・エクスプレス』の前日譚(たん)をつづる長編アニメ。同作を手掛けたヨン・サンホ監督が、極限状況下であらわになる人間のエゴを、格差社会や国家権力の問題も盛り込み活…more
Review
公開中のゾンビ映画「新感染半島 ファイナル・ステージ」に続き、一応シリーズ作の一つであるこのアニメ映画を鑑賞。
シリーズ一作目の「新感染 ファイナル・エクスプレス」の前日譚となる作品で、人をゾンビ化させる最凶ウィルス蔓延の“はじまり”を描いている。
実写作品の監督も務めるヨン・サンホ監督は、元々アニメーション監督だったようで、アニメ作品はお手のもののようだ。
一作目の「新感染 ファイナル・エクスプレス」が成功した要因の一つとして、アクションの見せ方のフレッシュさが印象的だったが、それもアニメ制作で培った構図づくりが活かされているのだろうと思う。
韓国製アニメを観る機会はあまりない。随分前に「マリといた夏」というアニメ映画を観たが、それ以来の韓国製アニメの鑑賞だったと思う。
アニメーションとしての精巧さにおいては、日本のアニメ文化と比較するとチープだと言わざるを得ないけれど、韓国映画独特の雰囲気はアニメ映画にも映しこまれていると感じた。
恐怖映画であることもあり、キャラクターの何気ない一挙手一投足に不穏さや不気味さがにじみ出ており、クオリティーのチープさを補う秀逸な空気感を携えていたと思う。
感染者(=怪物)と、人間(=怪物)に板挟みにされる絶望。
文字通り、「進むも地獄 退くも地獄」のその様は、絶望にまみれたこの世界そのものを表しているようだった。
そのシーンも含めて、やはりこの監督は、ストーリーを効果的に映し出すための舞台立てや構図づくりが巧い。
前日譚でもあり決して大きなストーリーテリングを見せるわけではないのだが、各シーンの舞台づくりが尽く巧いので、恐怖やスリリングをきちんと表現すると同時にシーンに相応しいドラマ性を生んでいたと思う。
ある夜に突如発生したパンデミックが、瞬く間に広がり、その絶望の極みと共にこの映画は終幕する。そのラストカットが美しい朝焼けであることもまた印象的だ。
今まさに世界はパンデミックによる恐怖と絶望の只中でもがき苦しんでいる。
明けない夜はないと言うけれど、果たしてこの夜はいつ明けるのだろうか。
そして、朝日が照らす世界はどうなっているのだろうか。



Information
| タイトル | ソウル・ステーション パンデミック | 
| 製作年 | 2016年 | 
| 製作国 | 韓国 | 
| 監督 | 
 ヨン・サンホ 
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| 脚本 | 
 ヨン・サンホ 
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| 声の出演 | 
 シム・ウンギョン 
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 リュ・スンリョン 
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| イ・ジュン | |
| 鑑賞環境 | インターネット(Netflix・字幕) | 
| 評価 | 7点 | 
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