「時をかける少女(2010)」

2010☆Brand new Movies

 

1983年の「時をかける少女」は、大林宣彦監督がノスタルジー感たっぷりに描き出した映画世界に、原田知世というアイドルを荒削りな原石のまま息づかせ、映画全体から滲み出てくる素晴らしい“初々しさ”をもって仕上げた伝説のアイドル映画である。

以降、幾度もリメイクがされてきた作品だが、2010年に生まれた今作は、リメイクというよりも、正真正銘の「続編」と言った方が正しい。

かつてタイムリープを経験した母親からある伝言を託された娘が、過去に遡り自らの両親、その友人らと接することで生まれる切ない物語。
そこには、大林版「時をかける少女」への尊敬と、映画という表現自体に対する愛情が溢れていて、映画自体の完成度以上の感動が生まれていると思う。

その感動の中心にあるのは、他の何でもない“仲里依紗”という女優の輝きだ。

この若い女優が、映画全体を走り回り、画面いっぱいに笑い、泣く。キャラクターに合致したその天真爛漫な輝きこそが、この映画の感動そのものだと思う。

1983年の「時をかける少女」が、原田知世が居たからこそ成立したことと同じように、2010年の「時をかける少女」も、仲里依紗がいたからこそ成立し、「映画」という表現自体の素晴らしさが溢れているのだと思う。

ラスト“2シーン”の仲里依紗の「涙」と「笑顔」、それを観るための映画だと言って過言ではない。
そして、そう言い切れることが、この映画の揺るがない価値だ。

「時をかける少女(2010)」
2010年【日】
鑑賞環境:映画館
評価:7点

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