「戦争」は批判するべきだし、それに直通する「武器製造」も絶対的に愚かなことだと思う。
ただし、そう正論を言いつつ、“武器”や“兵器”に対しての娯楽性を払拭できないことも事実で、見たことのない最新兵器に高揚感を持ってしまうのは、否定できない男の「性」だと思う。
世界最強の武器商人が、自らの方向性に疑問を持ち、武器製造のノウハウをもってして自分自身がスーパーヒーローになっていく様は、ある意味本末転倒で滑稽だけれど、エンターテイメント性に溢れ、愉快痛快だ。
そういった設定自体が持つ魅力に加えて、このアメコミ映画を成功に至らしめているのは、何を置いても主演ロバート・ダウニーJr.のパフォーマンスだと思う。
「世界最強の武器商人」という他の映画であれば、明らかに悪役的なキャラクターから一転、ヒーローへと転じる様は、私生活から毒気に溢れているロバート・ダウニーJr.だからこそ表現できたキャラクター性だろう。
最新のCGを駆使して描かれるメカニカル感も言うことなく、少々子供じみたデザインも含めて、「カッコイー!」と感じずにはいられない。
「アイアンマン」=「鋼鉄の男」と聞くと、とても質実剛健なヒーロー像を想像するが、描かれるキャラクターは、それとは程遠く、その毒々しさがこそがこの映画の最大の魅力だと思う。
案の定というか、お決まりというか、エンドロール後の続編へのくだりも、まさかのサミュエル登場で、俄然期待は膨らんだ。
「アイアンマン Iron Man」
2008年【米】
鑑賞環境:Blu-ray
評価:8点
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