冬季トリノ五輪閉幕。日本にとっての最大のハイライトは当然ながら、フィギュアスケート金メダル獲得の荒川静香だろう。が、低迷が続いた大会期間中通してその輝きを放っていたのは、何といっても“女子カーリング”だと思う。
今大会においても代表メンバーである2選手も所属していた、前ソルトレイクシティー五輪代表チーム“シムソンズ”誕生の実話をモデルにした映画が、この映画「シムソンズ」だ。
こう映画になってみて初めて気づかされたが、“カーリング”ほどスポーツ映画の素材としてふさわしい競技はないかもしれない。
「氷上のチェス」とも言われるとおり、「駆け引き」を主とするその競技性は、奇妙で地味だ。だが、その表面性の裏に広がるスポーツとしての奥深さと繊細さは、人間を描いていく上で、とても雄弁で、効果的だった。
特有の“スポーツらしくない”ビジュアルは、役者が演じる上でも効果的だ。こういう言い方をすると実際の競技者の人達に失礼かもしれないが、カーリング選手にはいわゆる“アスリートっぽさ”があまりない。加藤ローサのような駆け出しカーラーも、大泉洋のような元一流カーラーも、その存在に決して違和感が無いのだ。そのため、スポーツ映画特有の“わざとらしさ”や“素人っぽさ”が軽減されている。
そういう様々な視点、そして時期的なものも含めて“カーリングの映画化”は大正解だったと思う。
“カーリング”という素材意外では目新しさはほとんどない。でもこれこそが、青春スポーツ映画の王道であり、何の不足もなく、まっすぐな映画だ。
決して派手ではない“素材”と“演出”に彩られ、北の大地を舞台にこの映画は、熱く、温かく、不思議な形の一石を投じる。
「シムソンズ」
2006年【日】
鑑賞環境:映画館
評価:8点
コメント
金メダリスト荒川静香選手の華麗なる演技を収録したDVD発売
いま話題のカーリング
氷の上でやるカーリングはできるところが非常に限られているそうですが、フロアカーリングというのが、あるそうです。体育館とかでもできるということですよ。
天使の滑りで演技を魅了した荒川静香選手の美しいまでのDVDがありました。