世界における武器の広がり、そして常時勃発している戦争および紛争。それは、どう考えたって、この世界の悲劇的な“絶対悪”であるはずだ。
なのに、決してそれは無くなりはしない。
全世界が否定するにも関わらず、絶え間なく続くこの情勢に関する問題は、とても複雑で、あまりに愚かな要因を孕んでいるのだと思う。
そういう世界情勢に対し、この映画は、一人の実在の武器商人の半生をシニカルに、そしてある部分において肯定的に描くことで、強く“否定”している。
“戦争王”と呼ばれた主人公の生き方は、決して肯定されるべきものではないが、映画の中で語られる彼の言い分は、本当に否定されるべきものは一体何なのか?ということを考えさせられる。
そして、その生き様自体には、潔さと哀しさが溢れている。
「ロード・オブ・ウォー Lord of War」
2005年【米】
鑑賞環境:映画館
評価:7点
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