素晴らしい。いやスバラシイ。
ここにあるのは、紛れもない、「ひとつの大切な時間の断片」そのものだ。
高校生活最後の文化祭で、軽音部の3人が韓国人留学生をボーカルに巻き込んで練習を始める。
意気込むでも、殊更に深い思い入れがあるわけでもなく、ごく自然に、ごく普通に、彼女たちは練習をする。
女子高生らしく、笑いもすれば、怒りもするし、泣きもする。でも、描かれる彼女たちの言動には、決して「言い過ぎる」ことがない。それは、この年頃の少女たちの、文字通り等身大の姿だと思った。
自分の高校時代を思い返してもそうだが、高校生たちは、お互いを「言葉」だけで繋ぎとめうようとはしない。もちろん、繋ぎとめるための言葉を知らないということもあるが、彼女たちは、良いも悪いも自らのあらゆる「感情」をもってコミュニケーションをする。
当然、言い過ぎることもあるし、言い足りないこともある。しかし、それでも彼女たちは繋がっていく。
自分たちがやりたいこと、やろうとすることを、ただ“やる”。
彼女たちのその時に単純で、時に繊細な行動と言葉と感情は、とても純粋で、たまらなく魅力的だ。
高校時代の「青春」を描いた映画は多々ある。ただ、「高校生」という時間の中の高校生たちの、微妙な空気感をこんなにも、リアルに絶妙に紡ぎ出す映画はなかなかない。
若く、大切な時間の、そのままの“間”と“息づかい”が、観る者を「あの時間」へと引き込んでくれる。
「リンダ リンダ リンダ」
2005年【日】
鑑賞環境:DVD
評価:9点
コメント