最近の日本の大型娯楽映画には、以前と比べて随分良い作品が増えてきたのだが、今作の場合は、悪しい日本映画の典型を脱却できていない。
それは、エンターテイメント映画のメッカであるハリウッドに対して、製作予算の絶対的差が生み出すものではなく、それ以前の問題であるように思う。
まず、とにかく演出があまりにチープ。もはや、まともに演技指導しているのかという風にすら感じてしまった。
江口洋介にしても、鈴木京香にしても、それなりに達者な役者のはずである。それなのに、ああも自衛官に見えないのは、どういうわけだ。
もちろん本人たちの役作りの甘さも大いにあるが、全体的に酷い演出が目に付く。特にラストの、意味不明な敬礼シーンなどは、失笑そのものであろう。
次に、映像的な工夫の無さ。(日本映画としては)それなりの製作費を投じて、それなりの大セットなり、CGなりを駆使しているのにもかかわらず、映像に説得力がまるでない。
それは、あとほんの少しの、工夫と繊細さをサボっているからに他ならない。
ちょっといろいろな面で「酷い」映画だった。それにしても、良作だった「亡国のイージス」に対して、今作の方が圧倒的な数でレンタルビデオ店に並んでいるのは、一体どういうわけなのだろう?
「戦国自衛隊1549」
2005年【日】
鑑賞環境:DVD
評価:1点
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