ふと一人旅に出たくなり、何処に行こうかと悩んだ末に、“尾道”へ行くことにした。
「それなら、大林監督の尾道映画を観なければ!」と思いたち、初めてこの超有名な作品を観るに至った。
観て思ったことは、「尾道に行く前に観て良かった」ということと、「こんな良い映画をなぜ今まで観なかった?」という自分に対するうらめしさだ。
「ひょんなことから、男の子と女の子の中身が入れ替わる」という設定を今作を観てなくても、「知っている」という人は多いと思う。僕もまさにそれで、内容をなんとなく知っていたために敬遠してきたふしがある。
まったく愚かであった。
映画というものは、“内容”を観るのではない。役者の“演技”を観るものなのだ。
そういう当たり前のことを、今更ながら叩き込まれた気がする……。
とにかく、この映画に主演する“新人”俳優の二人はスゴイ。
小林聡美と尾美としのりである。
今や、映画・ドラマに欠かせないバイプレイヤーの二人だが、「よくこれほどの新人を発見したな~」と感嘆してしまった。
大袈裟でなく“天才”の領域である。いやマジで。
「男女が入れ替わった」という設定も、演じる小林聡美・尾美としのりという役者のことも、よく分かっているのに、「ああ、本当に入れ替わっている!」ととても自然に“錯覚”させる。いや錯覚というよりも、“信じ込ませる”ほどにそれぞれが巧い。巧すぎる。
日頃から映画はたくさん観て、今作より良い映画というものは、たくさんある。けれど、これほどに映画を“堪能”できたのは久しぶりだ。
いやあ、キモチイイ、スバラシイ。
「転校生」
1982年【日】
鑑賞環境:VHS
評価:9点
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