もしかしたら賛否が大きく分かれるのかもしれない。が、この映画は圧倒的に“賛”である。
まさに絶望的なまでの侵略者の脅威に対し、すべての人類は成す術が無い。
そうこれは“戦争”などではなく、一方的な“駆除”なのだ。そのままに一人残らず滅亡するのが真のリアリティかもしれないが、それでは物語にならない。
そうして導き出された結末は、人類の勝利ではなく、地球上の一生物として生かされた人類の姿である。
この顛末は、序盤からの脅威的な侵略に対しあまりに“あっさり”しているように感じるかもしれない。
しかしそうではない。
ただひたすらに逃げ惑うだけの人類たちのその同じ場所で、いつもと同じように繰り広げられる生命体たちの活動によって、人類は生かされたのだ。
実にシンプルで起伏に富んだ発想の転換、これぞScience Fictionの名にふさわしい。
スピルバーグは、映像に対する絶大な創造力をもって、この古き名作をリメイクしてみせた。
「宇宙戦争 War of the Worlds」
2005年【米】
鑑賞環境:映画館
評価:9点
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