敗者の誇り

全日本柔道選手権、北京五輪男子100kg超級最終選考。

井上康生が敗れた。

これまでの状況を踏まえると、彼の北京五輪出場は限りなく奇跡に近く、今日の全日本選手権が彼の最後の試合になることは、既に可能性の高いことだった。

それでも、「もしかして」という可能性を抱かせるのが、柔道家井上康生のスター性であり、敗北が決まった瞬間は、やはりショックだった。

ただ、最後の最後まで得意の内股で一本勝ちを狙っていった彼の姿勢には、かつての世界王者としてのプライドに溢れていたし、敗者としての振る舞いにも誇りが感じられた。

北京五輪での世界王者復活という夢は潰え、敗者が許される行為はただ去るのみであることは、勝負という世界の中では致し方ないことだ。
しかし、先日の野村忠宏と同様、井上康生という柔道家が紛れもなく強大な世界王者だったということが揺らぐことは決してない。

偉大な柔道家を超えて、五輪という舞台に進む新たな挑戦者たちに期待したいと思う。

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