“ジェイソン・ボーン”シリーズ最終作(一応)。昨日、6年越しに第二作目を観て、いてもたってもいられなくなって、今作のレンタルに走った。
このスパイ・アクション映画シリーズの変わった特徴は、“ストーリーに面白味はそれほどない”ということだ。
記憶を無くした主人公が謎に包まれた自らの“アイデンティティ”を取り戻そうとするというのが、このシリーズの根本的なプロットで、この手の映画の場合、出来る限りストーリー展開に凝って、ドンデン返し的なラストを用意するというのが常だ。
が、この映画においては、そういうストーリー的な機知に富んだ工夫はほとんどない。
用意された一つの「謎」。即ち、「ジェイソン・ボーンとは何者なのか?」ということを、主人公自らがひたすらに追い求めるということが、この映画シリーズの揺るがないスタンスで、その中で生じる「逃亡」と「追走」それらのみで構成される。
それは、アクション映画として、非常に潔く、故にとても洗練された作品へと消化した要因だと思う。
仰々しい爆発シーンや、劇的なストーリーテリングに頼らず、生身の人間が体現出来得るリアリティを前提としたアクションシーンを繰り広げることにより、このシリーズは独特の緊迫感と疾走感を併せ持った迫力に溢れたアクション映画として確立することが出来たのだと思う。
ただし、もう続編は必要ない。それはこの三部作を評価するからこそ生まれる大多数の意見だろう。
「ボーン・アルティメイタム The Bourne Ultimatum」
2007年【米】
鑑賞環境:DVD
評価:7点
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