「ウィキッド ふたりの魔女」“映画史と現実世界の境界線を越えたアメージングな映画体験”

2025☆Brand new Movies

評価:  9点

Story

魔法と幻想の国オズにある<シズ大学>で出会ったふたり― 誰よりも優しく聡明でありながら家族や周囲から疎まれ孤独なエルファバと、誰よりも愛され特別であることを望むみんなの人気者グリンダは、大学の寮で偶然ルームメイトに。見た目も性格も、そして魔法の才能もまるで異なるふたりは反発し合うが、互いの本当の姿を知っていくにつれかけがえのない友情を築いていく。ある日、誰もが憧れる偉大なオズの魔法使いに特別な力を見出されたエルファバは、グリンダとともに彼が司るエメラルドシティへ旅立ち、そこでオズに隠され続けていた“ある秘密”を知る。それは、世界を、そしてふたりの運命を永遠に変えてしまうものだった…。 Filmarksより

映画『ウィキッド ふたりの魔女』本予告<2025年3月7日(金)より、全国ロードショー!>
エルファバ(シンシア・エリヴォ)とグリンダ(アリアナ・グランデ)、対照的な“ふたりの魔女”の眩しくて切ない感動のエンターテイメントが日本上陸!2025年3月7日(金)より、全国ロードショー!出演:シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ、ジョ…more

 

Review

「オズの魔法使」の“西の悪い魔女”と“北の良い魔女”が、実は学生時代に親友だったという本作のプロットに対して、若干訝しく思ってしまったことは否めない。
1939年製作の映画「オズの魔法使」を初鑑賞したのは十数年前だが、同作に登場した緑色の魔女は、明確な「悪」の象徴として描かれ、一方の北の魔女はきらびやかな「善」の象徴として描かれていた。その両者が知り合いで、さらにはソウルメイトだったなんて設定は、さすがに物語世界から逸脱しているし、都合良すぎると思えた。

そんなわけで、劇場公開をスルーし、続編の公開が目前となったタイミングになってもほぼ関心はなかったのだけれど、或る一つの動画をきっかけに、僕は何かとんでもないものを見過ごしているのではないかという一抹の懸念が生まれ、ようやく鑑賞に至った。

きっかけとなった動画は、先ごろ本作の続編のワールドプレミアにて、悪質な迷惑系インフルエンサーの男がレッドカーペットに乱入したものだった。
主演の一人であるアリアナ・グランデに対して、強引に肩を抱き寄せようとする暴挙に対して、その場の誰よりも早く危険性に気づき、男を退けたのが、もう一人の主演シンシア・エリヴォ。ものすごい形相で男を突き放し、すぐさま怯えるアリアナ・グランデを気遣い、守ったさまがとても印象的だった。
ありふれた言い回しになってしまうが、そこに表れていたものは、本作の映画世界を通じた「絆」であり、それはこの映画作品がアプローチし描き出しているものが、正真正銘に芳醇であることの証明だと思えた。

まったく映画そのものを観ておらず、そもそも否定的に感じていた作品に対して、そんな経緯で魅力を感じてしまったことは今までなく、これはこれで稀有な事例だった。
そして、そんな発端を経て鑑賞に至った映画体験が、想像を遥かに越えて素晴らしいものだったのだから、映画とはなんて“アメージング”なのだろうと、改めて思い知った。

まず何と言っても、両主演俳優による圧倒的な歌唱力と、それに包み込まれるように展開される映画世界の多面的な広がりが素晴らしい。
オリジナルである1939年「オズの魔法使」は無論映画史に残るミュージカル映画の名作だが、その映画史的な系譜をきちんと受け継ぎつつ、それから85年分の映画表現の変遷や進化もしっかりと盛り込んだミュージカル映画の新たな名作として、燦然と輝いていたと思う。

個人的に特に驚きだったのは、歌姫アリアナ・グランデの演技者としての表現力の幅広さだった。世界的シンガーとしての立ち位置はもちろん認識していたけれど、俳優としてこれほど魅力的な存在感を放つとは思っていなかった。
歌声の支配力はもちろんだが、彼女の全身から放たれるフォルム、動き、仕草まで、すべてがこの映画世界にふさわしい“アイコン”として輝いていた。
本作で彼女が演じる“グリンダ”は、役柄的に決して美味しいキャラクターではないけれど、演者の表現力によってその魅力が深まっていることは間違いないだろう。

そもそもの懸念事項であった“西の悪い魔女”のバックボーンの物語に対しても、鑑賞を経てみると、極めて現代社会にふさわしいテーマであることに気づかされた。
すなわち、「悪」とは、そして「正義」とは、ある一方からの主観的な“レッテル”であることが往々にして存在するということ。自分たちと風貌が異なるもの、そして強大な力を発揮するものに対する、畏れや不安が、身勝手に「悪」を作り上げてしまっているかもしれないという現実──。
本作が描き出そうとしているものは、まさしくそんな現代社会に生まれ続けている“レッテル”の応酬と、そこから生じる隔たりや、軋轢の悲しさにほかならない。

カンザスの農場から竜巻に乗ってやってきた少女によってもたらされた“悪い魔女の討伐”を国中で祝うシーンから始まる本作は、その身勝手な祝祭の裏側に存在する「真実」を、見事な映画的娯楽と共に真摯にひも解いていく。
世界に対する失望と、自身に対する覚醒を経て、黒装束の魔女は親友と袂を分かち、空高く飛び立つ。
果たして“彼女たち”は、この先どういう運命を経て、世界中が知っているファンタジーの結末へと辿り着くのか。
今度は劇場公開を見逃さないように、心して待ちたい。

「オズの魔法使」
たぶんこの映画を幼少期に観ていたなら、自分の人生においてフェイバリットな映画の一本になっていたことだろうと思う。自分にとっての「メリー・ポピンズ」やその他のディズニー映画がそうだったように、多くの人にとって今作が生涯忘られないファンタジー映…more

 

Information

タイトル ウィキッド ふたりの魔女 WICKED
製作年 2025年
製作国 アメリカ
監督 ジョン・M・チュウ
脚本 ウィニー・ホルツマン
デイナ・フォックス
撮影 アリス・ブルックス
出演 シンシア・エリヴォ
アリアナ・グランデ
ジョナサン・ベイリー
イーサン・スレイター
ボーウェン・ヤン
ブロンウィン・ジェームズ
キアラ・セトル
マリッサ・ボーディ
ミシェル・ヨー
ジェフ・ゴールドブラム
声の出演 ピーター・ディンクレイジ
鑑賞環境 インターネット(字幕・Amazon Prime)
評価 9点

 

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