「コジコジはコジコジだよ」

漫画家のさくらももこが亡くなった。

あまりにも突然の訃報に、ショックよりも先に激しく動揺した。  
「ちびまる子ちゃん」はもはや国民的アニメとなっているが、原作漫画の面白さは唯一無二だ。もちろん、全巻持っている。
 ほのぼのさと、おバカさと同居する哲学性すら感じるコメディセンスに、僕はどれだけ笑ったことか。 

また、小学4年か5年頃に初めて買ったエッセイ本は、さくらももこの「さるのこしかけ」だった。
 “エッセイ”という文章表現を知り、そこから感じた物語とは異なる面白さは、今なお続く自分の「書きたい」という意欲の起点となっているように思える。
自分の存在した時間、何かを感じた時間、それを留め、書き残すということの意味と価値を、僕は彼女のエッセイから知った。 
そして、この漫画家が表現する自由気ままなエッセイセンスと、メルヘン気質と、果てしない宇宙観と、馬鹿さ加減と、愛くるしいキャラクター描写が混在する漫画作品の極みとも言えるのが、「コジコジ」である。
 
馬鹿で愛らしい謎の宇宙生命体であるコジコジが、ナンセンスなギャグを止めどなく展開するこの漫画が大好きだ。
 
「将来何になりたいのか?」と問う学校の先生に対して、コジコジはきっぱりと言い切る。
「コジコジだよ。コジコジは生まれたときからずーっと、将来もコジコジはコジコジだよ」
呆れて笑っちゃうくらいに単純な取り繕いのない台詞。
シンプルであまりに潔いこの台詞には、誰もが生物として存在することの、誰も否定できない意義が込められているようで、長く生きるほどに感慨が深まる。 
ああ、もっとこの人の漫画を、文章を読みたかった。
いじわるばあさんのように、「イッヒッヒ」と言いながら、いつまでも漫画を描き続けてほしかった。 
残念だ。本当に、ほんとうに、残念だ。
ありふれた表現だけれど、「天国でも漫画を描き続けてほしい」。
きっと、もっともっと自由気ままで、楽しくて、愛すべき漫画を描いてくれることだろう。
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