煽動

唯一無二の“センター”が不在のアイドルグループの出演を観るために、久しぶりに音楽番組を録画した。
新曲発売のタイミングでセッティングされたテレビ出演において、
センターはおろか、他のエース級の二人を欠いたままでの新曲披露には、
当然ながら疑問符と戸惑いはつきまとうし、
「暴挙だ」「傲慢だ」「怠慢だ」と運営側を非難したくなる気持ちもよく分かる。
ただ、果たして本当の「思惑」はどうなんだろうと思う。
「アイドル」という「ビジネス」を知り尽くした狡猾な大人たちが、
こんなにも分かりやすい「脆さ」をおめおめと晒すだろうか。
虚像と実像の狭間の「偶像」を創り続けたきた人達の思惑と、その存在性をまっとうする彼女たちの意図は、
この先の別のところにあるように思えてならない。
事実、一昨日発売されたばかりの新曲は、ミリオンセールスを達成。
昨年からの虚実織り交ぜた“プロモーション”と、彼女たち全員の特異な存在感が、
カテゴリーを超えた人達の心を掴んでいることの証明だろう。
冒頭、持ち主不在の赤いMA-1が象徴的に映し出され、寂しさと、物足りなさを痛感した。
それと同時に、いつ訪れるかもしれない「復活」の瞬間を想像して、
そのイメージだけで高揚を感じた。
この先に何があるのか。
不満も、不安も、ひっくるめて、この期待感こそが類稀なエンターテイメントだ。
目が離せない。
やっぱり新曲は、不在のセンターがジャケットのTYPE-Aを買おう。


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