ぶらぶらとゴールド・コーストのホテル周辺を歩いていると、さすがに色々な飲食店が並んでいた。
お決まりのイタリアンから中華、韓国料理、ベトナム料理まで様々だった。
その中に当然のように日本料理の店もあった。
今から考えると、ゴールド・コーストまで来て敢えてそれを選ぶ必要性もなかったと思うが、
あまり悩むことも無く僕たち夫婦は、居酒屋風の日本料理の店に入った。
どうやら、空腹が過ぎて出来るだけすんなりと惑うこと無く“ごはん”にありつけることを最優先に考えたらしい。
慣れない海外旅行の日々で、美味しいのだけれど似たり寄ったりのメニューに飽きがきていたことも否定出来なかった。
当然ながら日本人が経営しているその居酒屋で出てきた料理は、お世辞にも質の高いものではなかった。
けれど、何の戸惑いも無く“出し巻き卵”などと注文出来ることは、やはりストレスが無く色々な意味で気楽だった。
ある意味、オーストラリアで堪能出来る日本料理らしいメニューを食し、割高な日本のビールは避けて軽く飲んで、店を出た。
実質その夜は、このハネムーンでゆっくりできる最後の夜だった。
飲み足りなかったので、スーパーと酒屋に寄り、ワインと軽食を買って帰った。
まさに欧米文化らしい大容量の食料品が並ぶスーパーの店内は、いつも観ている映画によく出てくる風景で、地味に高揚した。

まだまだ賑わう夜のゴールド・コーストの街並は、良い意味でも悪い意味でも雑多な感じがして、
ハネムーンの最中で深く踏み込む勇気はなかったけれど、色々な刺激が溢れていそうな場所だった。
海外旅行自体が初めての者にとっては、勇気を出して入った酒屋で買ったスパークリングワインをホテルで飲むことが精一杯だった。

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