イチローがメジャーリーグで10年連続200本安打達成という、途方も無い大記録を達成した。
この「偉業」に対して、誰が何を言えるというわけもなく、ただただ「凄い」と讃えるしか許されない。と、思う。
「偉業」という「結果」は、何を置いても、イチローという偉大なアスリートが成した研鑽の賜物であり、
スポーツファンとして、日本人として、心底誇りに思う。
と、同時に、わき起こる思いもある。
「もう彼を“記録”に縛り付けることは終わりにしていいんじゃないか」と。
“イチロー”はスポーツ選手だ。スポーツ選手にとって、「記録」や「成績」は常に追い求めるべきことであり、尋常でないそれらを残し続けてきた彼のスポーツ選手としての価値は、もはや揺るぎようが無い。
ただし、イチローは、同時に野球選手だ。「野球」はチームで「勝利」を追い求めるスポーツだ。
メジャーリーグでの10年間で、イチローという野球選手に欠けているもの。それは「勝利」に他ならない。
野球ファンに限らず、日本人のほとんどが、“イチロー”のハイライトとして最も印象に残っていることは、
メジャーリーグ最多安打となる262安打を記録した2004年の姿ではなく、
2009年のWBC決勝戦で、決勝タイムリーを放った瞬間ではないか。
イチローが、野球選手である以上、ファンの記憶により残ることは、「記録」以上に「勝利」の姿だろう。
もちろん、彼は現時点で唯一無二の野球選手であることは間違いない。
が、彼が“本気”で「勝利」に固執した時、すべてのスポーツファンは、今日以上の幸福を得られるに違いない。
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