「THE 有頂天ホテル」

2006☆Brand new Movies

 

脚本家であり、劇作家であり、映画監督である三谷幸喜という“喜劇人”が好きな人であれば、彼がどういう物語の様式を選んだ時に、もっともその「笑い」に対する創造性が発揮されるかよく知っていると思う。

それは、「ある限られた場所と時間の中で、様々な人間たちが登場する」という設定。すなわち「グランド・ホテル形式」と呼ばれる様式をとった時だ。
過去の作品で言えば、「12人の優しい日本人」、「ラヂオの時間」などがその最たるところだろう。テレビドラマ「古畑任三郎」シリーズにおいても、特に優れたエピソードでは、そういう要素を生かしたものが多い。

ならば、その“グランド・ホテル形式”という言葉自体を生んだ1932年名作「グランド・ホテル」のパロディを試みたこの映画が面白くないわけはないのだ。

もはや“天才喜劇作家”という肩書きも大袈裟ではない三谷幸喜による、幾重にも盛られた“笑い”の伏線の螺旋に、日本映画史に残る豪華キャストたちが演じる奇妙なキャラクターたちが絶妙に絡み合う。
もうそこに「爆笑」が生まれるのは当然であり、「笑い」自体が感動的ですらある。

かつて、こちらも1957年の名作「12人の怒れる男」のパロディーである「12人の優しい日本人」がそうであったように、この映画も「グランド・ホテル」のパロディー作品ではあるが、そこには、日本人だからこそ描けるオリジナリティーを持った「笑い」と愛すべき「幸福感」が溢れている。

ただひとつ残念なのは、この映画の公開が年が明けて2週間も経ってからだったこと。やはり、年末年始の“有頂天気分”で観たかった。

「THE 有頂天ホテル」
2005年【日】
鑑賞環境:映画館
評価:9点

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