「最高だ。ほんとに最高だ。」
解説の高橋成美が、涙声のまま放ったその言葉は、そのシーンを共有したすべての日本人、そしてフィギュアスケートファンにとって共通した思いだったに違いない。
24時間が経過したけれど、あの“4分間”を思い起こすだけで、まだ涙が滲んできそうになる。
それくらい、昨日の“りくりゅうペア”のフリースケーティングは、完璧で、最高だった。
長年フィギュアスケートを観てきたけれど、涙が溢れ出たことは初めてだった。
ミラノ・コルティナオリンピック11日目。フィギュアスケートペアで、日本初のメダル獲得は、最高の結末に辿り着いた。
三浦璃来・木原龍一の日本代表ペアが達成した偉業は、「結末」と表現するに相応しい、まるで「物語」のような出来事だったと思える。
私の記憶のある限りでは、1994年のリレハンメルから冬季五輪を観戦してきたけれど、
私にとっては間違いなく、冬季五輪No.1のハイライトになったと思う。
おそらく、すべてのスポーツ観戦の遍歴を踏まえても、屈指のシーンとして記憶に残り続けるだろう。
4大会連続の木原龍一選手は、日本のペアが世界では通用しなかった時代から戦い続けてきた選手であり、屈辱と揶揄を受け続けてきたスケーターでもあろう。
私自身、「どうせ勝てないだろう」と、期待せず、中継の観戦をスルーし目もくれなかったこともある。
低迷するスポーツ競技により、新しい選手の出現によって躍進や快挙を遂げるシーンは何度も観てきたけれど、
その低迷を体現し続けた選手自身の研鑽と進化によって、かつてのレッテルを払拭した様を目の当たりにしたことも初めてだった。
フィギュアスケートペアで日本人選手が金メダルを獲得する。まさかそんな日が来るとは。
ショートプログラムでの失意と絶望を乗り越えて、フリースケーティングの演技終了時から涙を流し続けた木原龍一選手を、過去の“詫び”も含めてただただ讃えたい。
そして、そしてそんな彼を低迷の時代からすくいあげ、共に支え合い、共に見つめ合いながらこの「物語」を歩んだ、三浦璃来選手にも賛美を送りたい。
演技終了時、絶望から一転し安堵する木原龍一の頭を優しく包む三浦璃来の姿は、まさに女神にように、神々しく、慈愛に溢れ、美しかった。
ああ、「最高」の朝だった。
私はこの先何度もこのシーンを観て、涙するだろうと、思う。

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