市民ランナー

娯楽映画において、もっとも盛り上がる要素は、

ヒーローの活躍ではなく、想定外の脇役の活躍する様だったりする。

今日開催された東京マラソンは、まさにそういった想定外のエンターテイメントが輝いた。

外出して帰ってきた日曜日の夕方、Yahoo!ニュースのトピックスが目を引いた。

『市民ランナー・川内が3位!世界選手権代表内定』

一瞬、どういうことかがよく分からなかった。

ニュース記事の内容をすぐさま開く。

市民ランナーとして出場した川内優輝選手が、日本人トップの3位に入り、なんと8月の世界選手権の代表内定となったということらしい。

録画放送をしていたBS放送を慌てて録画し、今しがた後半のレース展開を観た。

残り5kmを切って、日本人トップは初マラソンの期待選手だった。

終盤の厳しい上り坂が下りに転じるタイミングに合わせて、川内選手がスパート。

一気に単独3位に躍り出た。

必死の形相でそのまま日本人最高位、

世界選手権選考基準タイムを上回る2時間8分37秒でゴールを切った。

興奮した。

マラソン中継で興奮したのは、2007年の世界陸上女子マラソンで、驚異的な粘りで銅メダルを獲得した土佐礼子のレース以来だ。

逆境からの逆転は、どのスポーツにおいても最もエキサイティングな要素だが、

マラソンという競技は、戦況の劇的な展開が起き辛い分、興奮は殊更だと思う。

男子マラソンに限れば、観戦をしていて、日本人選手の活躍に高揚した記憶はあまり無い。

今日、極上のエンターテイメントとして表われた一人の市民ランナーの「意地」は、

低迷する日本の男子マラソン界に対する強烈な刺激であり、希望であるようにも思う。

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