2024☆Brand new Movies「アステロイド・シティ」“様々な観点と同じ数の賛否を生む懐の深い映画” メインストーリーを極彩色豊かな劇中劇として映し出し、舞台劇のように描き出した現実描写を挟み込んだ入れ子構造は、意図的に難解で、映画世界に没頭しづらい。 けれど、その感情移入のしづらさそのものが、本作におけるウェス・アンダーソン監督の思惑でもあり、最終的には彼の生み出した世界に心地よく包みこまれていたことに気づく。 2024.06.092024☆Brand new MoviesスバラシネマReview
スバラシネマReviewスバラシネマex 「SHOGUN 将軍」“「解釈」を追求した誰も観たことがない日本の史実” アメリカ資本で製作されたスペクタルな「時代劇」が、これほどまでに日本という国と日本人そのものの本質を射抜いた説得力に溢れた作品になっていたことに、何よりも衝撃を覚えた。 2024.05.31スバラシネマReviewスバラシネマex
2024☆Brand new Movies「オッペンハイマー」“人類は今なお毒りんごを捨てきれない” 「原爆の父」として、特に我が日本にとっては、切っても切り離せない人物として存在するJ・ロバート・オッペンハイマーの目線を、一つの視点として描き出した本作は、紛れもない傑作である。そして、やはり日本人こそが観て、様々な感情を生むべき作品だろうと思った。 2024.03.312024☆Brand new MoviesスバラシネマReview
2024☆Brand new Movies「アルキメデスの大戦」“平和ボケしたこの国に今求められるVFX監督” 結論から言うと、とても面白い映画だった。 太平洋戦争開戦前の旧日本海軍における兵器開発をめぐる政治的攻防が、事実と虚構を織り交ぜながら娯楽性豊かに描き出される。 2024.03.092024☆Brand new MoviesスバラシネマReview
2024☆Brand new Movies「哀れなるものたち」“脳味噌をほじくり返されて、頭痛なんて消え去る” ひと月ほど前に、映画館内に貼られた特大ポスターを目にした瞬間から「予感」はあった。 何か得体のしれないものが見られそうな予感。何か特別な映画体験が生まれそうな予感。 大写しにされた主演女優の、怒りとも、悲しみとも、憂いとも、感情が掴みきれないその眼差しが、そういう予感を生んでいた。 2024.01.272024☆Brand new MoviesスバラシネマReview
2024☆Brand new Movies「男はつらいよ 望郷篇」“脚本とアドリブとNGをひっくるめて作品化する山田洋次の監督力” 2024年も映画初めは“寅さん”でスタート。今年も50年以上前の人情喜劇に心が安らぐ。 「望郷篇」とういタイトルに相応しく、寅次郎の故郷東京柴又をはじめ、この国のかつての風景や風俗描写が何気なく映しとられている。 2024.01.052024☆Brand new MoviesスバラシネマReview
スバラシネマReview「チィファの手紙」“中国と日本の境界を越えて表現される岩井俊二のたくらみ” 映画の“リメイク”は、古今東西数多あるけれど、同じ映画監督が「製作国」を違えてリメイクをすることは、実はなかなか珍しい事例なのではないか。 どうやら、そもそも同じ物語を別々の国で映画化するという企画だったようだが、岩井俊二監督自身によるその着想は、とてもエモーショナルな映画世界上の多様性を生み出していた。 2023.09.24スバラシネマReview2023☆Brand new Movies
スバラシネマReview「ゲームの規則」“セレブたちの笑えない狂騒劇は今なお続く” 第二次世界大戦前夜の時代、フランスの“上流階級”の人間たちの愚かさと滑稽さを描いた群像劇は、驚くほどに感情移入することができない。それくらい、彼らの思考と価値観そのものが、我々庶民からは異質であり、遠い位置にあることの表れだろう。 2023.09.08スバラシネマReview2023☆Brand new Movies
スバラシネマReview「怪物」 “スクリーンが鏡になってもう一人の怪物を映し出す” 「怪物」と冠されたこの映画、幾重もの視点と言動、そして感情が折り重なり、時系列が入り乱れて展開するストーリーテリングは意図的に混濁している。そして、その顛末に対する“解釈”もまた、鑑賞者の数だけ折り重なっていることだろうと思う。 2023.06.15スバラシネマReview2023☆Brand new Movies
スバラシネマReview「クリード チャンプを継ぐ男」 “トントン拍子を打ち破る圧倒的ボクシング力” 名作「ロッキー」の新章として、各方面からの激賞を聞き及びつつも、気が付けば8年の歳月を経てようやく鑑賞。既に人気シリーズと化し、劇場では第三弾が公開されている状況。 観れば間違いないんだから、観ればいい。 にも関わらず、なかなか鑑賞に至れなかった最たる要因として、あまりにも容易にストーリー展開が想像できてしまうということがあった。 2023.06.03スバラシネマReview2023☆Brand new Movies