評価:
10点Story
戦争で負傷し下半身不随となり車いす生活を余儀なくされた元海兵隊員のジェイク。ある時、彼は“アバター・プロジェクト”にスカウトされる。それは、地球から遥か彼方の衛星パンドラで、莫大な利益をもたらす希少な鉱物を採掘するための事業。そのために、人間に有害なパンドラの環境で活動できるよう先住民ナヴィと人間のDNAを掛け合わせた肉体“アバター”が造られていた。そしてジェイクに課せられた任務は、そのアバターに意識をリンクさせ、遠隔操縦によりパンドラで生活し、ナヴィ族との交流を図ること。アバターを介してついに身体の自由を得たジェイクは、さっそく神秘的なパンドラの森へと足を踏み入れ、やがてナヴィ族の美しい女性ネイティリと運命的な出会いを果たすのだが…。 allcinemaより
Review
13年越しの続編「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」を観た翌日、本作を劇場公開以来13年ぶりに再鑑賞。まず感じたことは、一時代前のCG映画でありながら、そのビジュアルクオリティに対して殆ど“色褪せ”を感じなかったことだ。
当然ながら劇場鑑賞時はIMAX3D環境で鑑賞し、その映像世界の精度と迫力に驚嘆したものだったが、そのことが、13年間本作を再鑑賞する気にならなかった要因でもあった。
即ち、3D環境以外で本作を観たことろで、現状鑑賞時以上の驚嘆を得られるわけもなく、さらに時が経てば経つほど、その映像世界が色褪せて見えることは必然だと思われたからだ。
が、しかし、今回最新作の鑑賞直後に本作を自宅のモニター環境で再鑑賞しても、そういった“色褪せ”はほぼ感じることなく、改めてその革新的な映画世界を堪能できた。
無論、3D前提の映像表現ではあるので、劇場公開時の驚嘆の記憶を辿りながら、多分に脳内補完されている部分はあるだろう。
けれど、13年経った今でも経年劣化を全く感じさせない本作は、まさしく「未来」の映画であったということを、現実的に時が経過した今思い知った。
またストーリーラインの骨組みが堅実に構築されていることも、本作が色褪せていない大きな要因だろう。
心身ともに傷を負い、不遇の人生を送る主人公が、新しい世界に触れ、文字通り「再誕」するというストーリー展開は、極めてオーソドックスではあるけれど、主題となるテーマ性は普遍的であり、そこに“アバター”という未来的要素が巧みに組み合わさることで、万人受けするエンターテイメント性を生み出している。
それは、多様性、ジェンダーレスを声高に掲げる現代社会の価値観にも合致するものであり、ストーリーテリングの観点からも、この映画がやはり未来的だったのだと思える。
最新作「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」は、より進化した映像表現により、また一つ先の「未来」をクリエイトしていると思う。13年前同様に、観客をその映画世界にトリップさせ、新たな映画体験をもたらしていることは間違いない。
が、その一方で、映画としての本質的な面白さの部分で、この第一作目とは確実な「差」があったことも否めない。
その最たる要因は、地球人とナヴィ族の狭間にいる主人公の葛藤があまりに希薄になってしまったことだろう。
主人公ジェイクが、元地球人という側面を殆ど見せずに、家族とナヴィ族を守る戦いに終止してしまうことが、ストーリーとしてやや短絡的になってしまっている。
また対峙する敵方もアバター化するため、ビジュアル的にもナヴィ族同士の戦いのようになってしまい、異種族同士が入り乱れる映像的な面白みが薄まっていたのだと思う。
最新作と本作を観て、「アバター」という映画世界が内包する要素は、映像表現としても、ストーリーのテーマ性としても、更なる可能性を秘めているように感じた。
続いて公開が予定されている続編において、その可能性と世界観が、更に深まり具現化することを大いに期待したい。
Information
タイトル | アバター AVATAR |
製作年 | 2009年 |
製作国 | アメリカ |
監督 | |
脚本 | |
撮影 | |
出演 | |
鑑賞環境 | インターネット(U-NEXT・字幕) |
評価 | 10点 |
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画像引用:https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-features/avatar-re-release-how-james-cameron-2009-movie-1235225147/
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