帰ってきた子どもたちを近くに呼び寄せた。
まず言わずにはいられなかった。
「どんなに上手くいかなくても、どんなに不満があっても、暴力は絶対に駄目だ」
と、
伝えきる前に、なぜだか感情が極まって、涙が溢れてきた。
伝えようとしたことは、改めて言うまでもなく、至極まっとうなことであり、
親として、これまでも何度も言い聞かせてきたことだったけれど、
今日のそれは、まったく状況が異なる。
安倍晋三元首相が、白昼、大衆の眼前で銃撃され、結果落命するという衝撃。
この事件に対して、僕は、自身が把握していた以上に、動揺し、失望し、憤っていたようだ。
安倍晋三という政治家を特に支持したり、好意的に思っていたことはない。
むしろ、近年は逆の感情の方が強かったとは思う。
ただ、当然ながらそんなことは関係ない。
少なからず何かの意思を発する人間の一人として、
自分の意思を大衆に対して発していた人間に対して、
背後から近づき、理不尽な暴力によってその言動を一方的に奪い去るという卑劣、
その蛮行に対する怒りと悲しみがおさまらなかった。
涙が止まらなかった。
この国の人間として、そして子どもたちの親として、
こんなことが起きてしまったことが、只々悲しくて、やりきれなかった。
動揺はまだおさまらないし、自分が何をすべきか、どう考えるべきかも定まらない。
子どもたちに対して、この現実をどう伝えることが正しいのかも実際わからない。
この混沌に呑み込まれては駄目だけれど、ただ目を背けてはいけないと思う。
これは、文明と社会に対する冒涜。
断固拒否し、非難し、引き下がらない。
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