春先の沼

ひとりカメラ部

世間的な年度末が過ぎ、はや4月。

職場にも新入社員が初出社し、

昼休み会社周辺を歩いてみてもそれっぽい新社会人の人たちが、少し所在なげにうろうろしていた。

自分自身の“あの頃”を振り返ると、今でもあの吐き気を思い出してしまうくらいに、あまりいい思い出はない。

一時期は、「春」という新しい季節が苦手で、苦しくて仕方なかったけれど、

今となっては、このフレッシュな季節感も嫌いではなくなった。

 

 

 

ただ、そんなフレッシュな春先に、

オールドな世界にどっぷりとハマりつつある……いや完全に“沼”にハマってしまっている自分は、

つくづく世の中に逆行しているなと思う。

 

“オールドレンズ”への興味と物欲が止まらない。

自身のInstagramを振り返ってみたならば、最初のオールドレンズ「Pentax M42 Super Takumar 55mm F1.8」を手に入れたのがちょうど3月1日。

この一ヶ月で、まんまと沼にハマってしまい、都合5本のオールドレンズが目の前に並んでいる。

そして今さっき、また6本目をヤフオクで落札してしまった。

ヤフオクとメルカリの“お気に入り”には、入れ代わり立ち代わり物欲の権化が列挙されている。

いやあ怖い。でも、楽しい。

 

現代の最新の交換レンズはどんなに安価なものでも3万を下ることはまずなく、

品質の良いものを求めるとなると、平気な顔で10万オーバーを突きつけてくる。

そんな価格設定の中で、交換レンズを揃えるなんてことは、僕の懐具合では現実的ではなく諦めていたけれど、

オールドレンズの存在は、そんな甲斐性なしの諦観を華麗に覆してきた。

必然的に世の中に出回るすべての品が中古品なので、数千円単位で極めて安く手に入る。

そして、今の世の中は、そんな中古品を手に入れることが、劇的に容易で、システムとして完成している。

 

実際の話、50年以上も前の品を購入して満足を得られ、

その一方で自分の不要な物を売って少なからず金銭を得て、

そしてまた別のものを購入するというサイクルは、

SDGsじゃないが、とても現代的で有意義なことだと思える。

 

自分自身、40歳を超えて、色々と考えざるを得ないことは多いが、

そんな自分よりもずっと前に生み出されたレンズで、

今この瞬間の景色や、物や、家族を写真に収めるという行為は、

やっぱり意義深いことだと思うのだ。

 

 

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