無音の咆哮、幸福な時間

 
午前4時過ぎ、絶叫を噛み殺し、リビングを走り回る。 
原口元気と、乾貴士の素晴らしいゴールによって、日本が強国ベルギーに対して2点先行した。
この国のサッカーが、ワールドカップのベスト8に手をかけた瞬間だった。 
だがしかし、無情にも勝負の女神は、日本の手を振り払い、神々しいまでのスピードで去っていった。 
日本の敗戦に対して、悔しくて泣いたのはいつぶりだろうか。
ベスト8の壁はやはり高く、残酷だった。
それでも、日本代表チームは、勇敢に攻め登り、壁の向こう側を覗いてみせた。
わずか十数分のことではあったけど、日本中が夢見た時間は、あまりにも幸福だった。
あの幸福な時間を過ごす事こそが、サッカーを見る意味だと思う。 
ならば、他に何を望むのか。
壁を越えられなかったからこそ、夢は続いていく。 
これからもブルーのユニフォームに声援を送り、心の中で唱え続ける。
シュート、そして幸運を。


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