遙かなる山の頂に対峙する幸福

12年前のトリノ五輪、日本人選手の台頭もあり、スノーボード ハーフパイプという競技に日本中の注目が集まった。

日本人選手が見事に惨敗し、世界との本当の距離感をまざまざと見せつけられた中、

殊更に異次元のパフォーマンスを見せ、大会を支配したアメリカ人選手が、絶対王者ショーン・ホワイトだった。

その時初めて王者のパフォーマンスを観た僕は、衝撃を通り越して、唖然とした。

こんなスーパースターがいる間は、日本人選手に勝ち目はないと心底思った。

当時のその感想を、改めて訂正し、すべての日本人スノーボーダーに謝罪したい。

あのトリノ五輪から8年が経ったソチ五輪で、日本人選手が表彰台の2nd3rdに立った。

そしてソチ五輪から4年後、日本が生んだ銀メダリストが、かの絶対王者と「真っ向勝負」を繰り広げた。

絶対王者を追い詰めたということよりも、

王者にとって見紛うことなき「好敵手」となり、彼の限界を引き上げて、

過去最高のパフォーマンスをさせて見せた平野歩夢を、日本人として心から誇りに思う。

日本が誇る2大会連続の銀メダリストは、なんとまだ19歳である。

目の前で肉薄した「頂」が高いことは、彼にとって、今金メダルを穫ることよりも遥かに幸福なことだろう。

そして、12年以上にも渡り絶対王者として君臨し続けるショーン・ホワイトには、ただただひたすらにリスペクトしかない。


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