おヒサシネマ!「Love Letter」

久々鑑賞☆おヒサシネマ!

 

何年ぶりかにこの映画を観て、何年ぶりか前と同じように胸が締めつけられ、泣いた。
この先、人生の中でこの映画をあと何回観るのか分からないけれど、僕はその度に、初めて観た時と同じように、いやむしろ年月を経るごとに感動は深まり、また泣くだろう。

久しぶりに観てまず感じたことは「違和感」だ。
言葉の選択が間違っているかもしれないが、勿論、そこに否定的な意味合いは無い。
そこにあったのは、とても心地いい違和感。
それは、古い日本映画を観た時に通じる“時代感”に似ているかもしれない。

発される言葉の選び方から、少々突飛なキャラクター設定、ほんの少しずれて聞こえてくる音声に至るまで、監督・岩井俊二によって紡ぎ出されたこの映画世界は、現実感を敢えて外し、「映画」すなわち「寓話」であることを際立たせ、その“特別”な世界観に観ている者を引き込んでくる。

ただし、だからと言って甘ったるいばかりのロマンスを連ねるのではなく、「死」というすべての人間にまつわる明確な事象を、映画全編に渡って際立たせていることが、この映画の芯の部分をぴんと張りつめている。

雪景色の肌に刺さるような空気感と、部屋の中の暖かな空気感が絶妙なバランスで映画自体を包んでいるように感じた。
そしてその対比は、中山美穂演じる二人の女性の一人の男に対する想いにそのままつながっていく。冷たい空気感は死んでしまった恋人を思い続ける博子を包み、暖かな空気感は遠い記憶の中の淡い恋心に気付く藤井樹を包み上げていく。

そして、その空気感が各々の想いと、二人が共に経験した親しい人間の「死」の記憶に混ざり合いまた別々の人生へと昇華されていく。

しっとりとそして鮮烈に胸に残る傑作。 いやもはやそんなありふれた言葉では足りない、僕にとっては「特別」な映画だ。

 

「Love Letter」
1995年【日】
鑑賞環境:BS
評価:10点

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