営業職に就いている人、
そしてその職業が向いていないと思っている人は、
特によく理解してくれると思うが、
“ロープレ”という研修ほど嫌なものはない。
社内や同業職の者同士で、擬似商談をして営業スキルアップを図るというアレである。
曲がりなりにも10年近く営業職をしているので、
実際のお客相手には多少のハッタリも含めて、もはや特別に緊張することもなくこなせるけれど、
ロープレとなるとそうはいかない。
当然、自分の上司だったり、自分より営業スキルが格段に上の人が相手なので、
表面的な取り繕いなど通用するわけもなく、ただただ緊張感と圧迫感に押しつぶされそうになる。
今日は、業務提携先での“ロープレ研修”のため、遥々高松まで行かなければならなかった。
当然、気分は研修の日程が確定した10日程前から最低だった。
本当は午前中から先方の営業所に入る予定だったのだが、
なんだかんだと誤魔化して、午後入りにした。
精神的に“重い”時間をやり過ごすためには、それ相応の心構えのための時間が必要なのだ。僕は。
実際、お昼前には香川県に入っていた。
高速のインターを少し手前で下りて、一般道を行きながら思案する。
「あ、そうだ」と思いたち、折角なので“さぬきうどん”を食べることにした。
すぐさま、Google Mapsで「うどん」と検索したら、
流石に現在地の周辺だけでも数多くのうどん屋が検出された。
別に特にこだわりはなく、ある程度美味いうどんが食べられればそれで良かったのだけれど、
道すがらに検出されたうどん屋の一つに「がもううどん」という店名が目についた。
誰に聞いたかちっとも覚えていなかったが、
その店名はどこかで聞いたことがある気がしたので、
そこに行くことにした。
本当に道すがらだったので、すぐに到着した。
が、小さな小さなお店の前には、午前11時過ぎですでに行列が出来ていた。
「あらら」と思ったが、時間的には余裕があったので、“こっそり”と並ぶことにした。
行列の顔ぶれは、観光客と地元民が半々といったところだったろうか。
いずれにしても、「さすが“うどん県”だな」と思った。
行列について10分程でうどんにありつけた。きっと休日にはそれの何倍もの時間を要したことだろう。
うどん大(2玉)とちくわ天を注文して、濃口だしをかけて食べた。
いやあ、とても美味かった。
行列は益々長蛇になりつつあったので、とっとと食べて店を出た。
店を後にしてからよくよく調べてみたら、結構な有名店だったようで驚いた。
想定外の満足感を得て、イヤなイヤな現実に戻った。
“さぬきうどん”がエネルギーになったのかどうなのか、ロープレ研修は無難にやり過ごすことができた。
まあ、どんなに嫌なことであっても、
“終わらないことはない”ということを身に染み込ますように学んだのも、
この仕事に就いてからだな……ということを今一度噛み締めながら、高松を後にした。
と、他愛もない一日のことを長々と書いて夜更かし。
安いウイスキーのロックをチビチビ飲み、カシューナッツをつまみながら夜更かし。
ニコ生のお気に入り生主の“飲み枠”を見ながら夜更かし。
イヤなイヤなことを終えた後の夜更かしの“有り難さ”も、
この仕事に就いて身に染み入ったコト。
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