“サーカス”というものに行ったのは、おおよそ30年ぶりだと思う。
そりゃもう行ったことがないことと同じようなものだろうが、
物心つくかつかないかの頃に、「母親に連れられてサーカスに行った」という記憶だけ残っている。
何を観て、どう感じたかなんてことはまるで覚えていない。
30年ぶりのサーカスは、想像以上に楽しいものだった。
メキシコ人の兄弟によるジャグリングショーを皮切りに、
数々のアクロバットパフォーマンス、
イリュージョンショーに、軟体芸、早着替え、
愛らしく驚くべきドッグショー、空中ブランコ、
そして愉快な道化師たち。
サーカスの演目としてはあまりにベタなラインナップだろうが、
即ちそれは、長年に渡って培われてきたサーカスというショービジネスの「王道」だろう。
ショーそのものの娯楽性を心から堪能すると同時に、
世界を股にかけてショービズの世界で生きる人たちの“生き方”を想像し感じ入った。
サーカスというショービジネスのエンターテイメント性とは、
必ずしも繰広げられる曲芸のパフォーマンスだけではないと思える。
世界中から集められた人間が、己の身ひとつから築き上げてきた芸事を、
その場に集まった大衆に対して繰り返し繰り返しひたすらに披露する。
その人生は決して綺麗事ではないだろう。想像もできない辛苦が渦巻いているのだろうと思う。
その果てしない道程に対しての彼らのプライドも含めて、この「娯楽」は成り立っていると思った。
3歳の愛娘も2時間近い演目を楽しんでいた。
文字通り世界中の老若男女を飽きさせないことも、彼らのプライドが成すことだろう。
機会があれば、これからはもっと積極的にサーカスに行こうと思う。
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