モンスタードラマ評

最終回の瞬間最高視聴率は、関西地区で50%越えを果たしたらしい。

「半沢直樹」は、まったく驚異的な数字を叩き出して、一応終幕した。

原作はまったく読んだことが無かったので、衝撃的なラストの顛末には、

正直「ええぇ……」となった。

分かりやすいカタルシスが得られなかったことに、一寸フラストレーションを覚えたことは確かだ。

しかし、振り返れば振り返る程、まったく理にかなったエンディングだったと思う。

まあ原作通りなのだから、それを覆す道理はそもそもないのだけれど。

毎週楽しみに見ていたが、ずうっと違和感として見え隠れしていたことが、

ラストの顛末により初めて明らかになり、同時に解消した。

それは、まさに賛否の的になっている最後の「辞令」を言い渡した、

北大路欣也演じる中野渡頭取のキャラクター性についてだ。

ストーリー展開の中で終始大物の人格者風に描かれ、

基本的に主人公の後ろ盾として存在していた中野渡頭取だが、

そもそも彼が本当に人格者の大人物なのであれば、

あのような大銀行ならではの腐敗体質が、暗黙の了解の中でまかり通っているわけがない。

腐敗を暴こうとする主人公の後ろ盾となっている存在感が、なんだかとても都合良く見えて仕方なかった。

そういった「違和感」が、大ラスの展開で見事に一蹴された。

期待したカタルシスは無かったが、変わりに身の毛もよだつ現実的な闇に包まれた感覚を覚えた。

そもそもが続編ありきだったろうし、この展開であれば、

主要キャラクターも引き続き登場させられるわけであり、

テレビ局側としてもあらゆる側面で理にかなった企画なのだろうことは容易に理解できる。

いやあそれにしても、続きの展開が気になる。

この後の展開を描いた原作を読みたい気持ちと、

来年には製作されるであろう「半沢直樹2」を新鮮な気持ちで見たい気持ちとが、

暫くの間せめぎ合いそうだ。

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