古い映画の夫婦

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「夫婦善哉」という60年近く前の映画があって、

主演の森繁久彌と淡島千景が、

ときに仲睦まじく、ときに険悪な雰囲気で、ふたりで食事をするシーンが印象的だった。

そんな折、

昨夜は、久しぶりに夫婦二人きりで夜の街に参じた。

いろいろと申し訳ないが、愛娘を愛妻の実家に預け、

南方を台風がゆく雨の中、路線バスに乗って、街に向かった。

愛妻が予約してくれた評判の鉄板ダイニングで、

夫婦水入らず心ゆくまで飲み食い。

鉄板を目の前にしたカウンター席だったので、

目で楽しみ、耳で楽しみ、臭いで楽しみ、舌触りで楽しみ、味覚を堪能。

文字通り五感で美味しい料理を楽しんだ。

もちろん、美味い料理に酒も進む。

生ビール→ハイボール→赤ワイン→ハイボール→赤ワイン、

二人きりで食事をしながらにしてはよく飲んだ方だと思う。

当たり前だが、我が夫婦が2時間の食事だけで飲み足りていたはずもなく、

“二次会”は、前回ふらりと立ち寄った夫婦経営の小さな居酒屋に再び赴き、

冷酒と梅酒を飲んで、

またバスで帰った。

愛娘のことを中心にたわいものない話を繰り広げた時間ではあったけれど、

たまにはこういう一時も必要で、良い時間だったと思う。

これからまた家族が増えたりもするのかもしれないが、

最終的にもっとも多く共に食事をするのは、愛妻なのだろうと思う。

古い映画の夫婦のように、

なんだかんだ言いながらも、共に飲み食いし、生きてゆければいいと思う。

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