去年のドラマ評

ふと流れていたCMに若手女優の多部未華子が出ていて、

随分と大人っぽくなったなあと感じ、

調べたらもう24歳で、もはや「若手」などと付けるのは失礼な正真正銘の「女優」だと思った。

そして、彼女が出演し、昨年末放映されていたテレビドラマ「大奥〜誕生[有功・家光篇]」が、

第六話まで観たきりHDDに録り溜めたままになっていたので、

ここぞとばかりに最終回まで一気に観てみた。

原作のよしながふみの漫画「大奥」の大ファンで、

ドラマ化とそれと同プロジェクトでの映画化には、期待と不安が入り交じった。

それを踏まえて、第六話まで観たきり一年近くも放置していたと言うと、

さもこのドラマ化作品が不出来だったように思われるだろうが、

決してそんなことはなかった。

視聴率も随分と低迷してしまったようだけれど、

ようやく最終回まで観てはっきり言えることは、

原作漫画をきちんと踏襲した優れたドラマ化作品であったということ。

何と言ってもキャスティングの見事さと、それに応えた俳優たちの演技が素晴らしい。

前述の多部未華子は、原作ファンとしては、

過酷な運命を背負った“家光”役を演るには少々荷が重いと初めは思っていたが、

回が進むにつれ見事に“女将軍”に成っていった。

主人公・有功を演じる堺雅人は、もはや盤石。

紛れもない聖人君子でありながら、無理矢理に大奥に引きずり込まれ、

己の中で渦巻く本質的な感情に葛藤する様は、彼にしか演じられないとすら思う。

あとは、春日局の麻生祐未がこれまた素晴らしい。

歴史上最も有名な“乳母”を、秘めた崇高な志のもと鬼畜の所行を繰り返す“鬼子母神”として見事な存在感を見せていた。

“男女逆転の大奥”という奇異な世界観の中で、

それぞれの人物が持つ使命と運命が入り交じり、更に男女の愛憎が渦巻く。

このドラマ世界は、まさに絢爛豪華な“昼ドラ”であり、濃ゆく辛辣な歴史メロドラマとも言える。

その特有のどぎつさと、禍々しさが、決して万人受けしなかった理由なのだろうが、

それは原作漫画もまったく同じなので、製作の方向性もまったく正しかったと思う。

完成度の高さを認めつつも、なかなか観る気になれなかったのは、

「半沢直樹」のように、決して気持ちのいいストーリーではないことを充分に知っていたから。

ただこれでようやく、ドラマを観終えるまでは観まいと決めていた映画化作品も観ることができる。

ちなみに、2010年の二宮和也主演の映画作品も、世間の低評価に反して存外に楽しめたので、

結局のところ、僕はこの原作世界が問答無用に好きなのだと思う。

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