今月も終盤。いつものように、忙しくないわけがないのだが、気忙しさが積もるばかりで相変わらず動きが鈍い。
それでも、ほんとうにギリギリであるが、ある程度の目算は経ったので、ふと本屋に立ち寄った。
「エスパー魔美」の文庫本の第3巻でも買おうと思って探したが、無かった。
ふと文芸書の文庫本の最新刊コーナーに並んでいた小説のタイトルが気になり、衝動買いした。
「殺人鬼フジコの衝動」/真梨幸子
文庫本の帯には「後味の悪さ」と「ラストの衝撃」が強調されたコメントが記載されていた。
おそらくは、湊かなえの「告白」のような類いの小説なのだろうと容易に推測でき、だからこそ期待できた。
合間合間の時間を潰すために読むつもりだったが、まんまと“一気読み”してしまった。
ストーリーそのものに「告白」ほどの完成度の高さは無いが、
前評判通りに後味はサイコーに悪い。
とにかく、登場する人間という人間が、揃いも揃って胸糞悪い人間ばかり。
よくもまあ、これほど酷い人間描写ばかりを書き連ねられるものだと、
不快感を募らせつつ、そのくせその文体から目が離せなかった。
ドキュメント調の計算され尽くした文体の構造はオリジナリティーに溢れ、逆にエンターテイメント性の高さを感じた。
しかし、この小説にエンターテイメントを感じてしまうということ自体が、
自分自身も含め、すべての人間に巣食う“闇”を見透かされているようで、
そのことが何よりも後味を悪くした。
結局のところ、人間の最大の好物は、自分以外の人間の「不幸」なのかもしれない。
日がすっかり暮れた高架下に停めた車内で、重く沈み込むように、そう思った。
![]() | 殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫) (2011/05/07) 真梨幸子 |
コメント
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なんたって、「フジコ」やけんね。必読でしょう。
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これこないだ買ってまだ読んでないんすよ。
さっそく読むことにするわ。