出勤日の土曜日。
取引先の企業が、阪神タイガース戦の主催ゲームを行うということで、誘いを受け甲子園球場に行った。
当然のごとく、往復の運転はほとんど任され、総運転時間10時間。
いろいろあって、帰りは向こうを0時前に出発するはめになったので、非常に疲れた。
しかも、久しぶりの甲子園のタイガース戦は、広島相手に0-2での6回雨天コールド……。
クライマックスシリーズ進出に望みを繋げるタイガースの快勝を期待していたので、とても残念だった。
しかし、今回のプロ野球観戦の「満足度」は、それでも極めて高いものとなった。
なぜならば、改装した甲子園球場に新設された「ロイヤルスイート」で観戦することが出来たからだ。
「ロイヤルスイート」は、個室タイプの観覧席とバルコニー席が併設された法人契約専用のいわゆるVIP席。
優勝がかかった試合で球団オーナーや社長がよく観戦している映像がスポーツ番組で流れるが、まさにあの席をイメージしてもらうと正しい。
招待券に「ロイヤルスイート」と記されていたので、期待はしていたのだけれど、圧巻だった。
まず入り口からしてまったく別の場所にあり、コンシェルジュ的な人が部屋まで案内してくれる。
ホテルの客室のような部屋に入ると一面のガラス張りの向こうにスタジアムのパノラマが広がる。
部屋にはソファーが置かれ、ある意味贅沢なテレビ観戦も出来る。
料理とお酒を堪能しながら、ゆったりと野球観戦が出来る。(当然僕は酒を飲めなかったが……)
バルコニー席に出ると、球場全体が一望でき、改装して随分綺麗になった甲子園球場を眺めているだけで野球ファンとしては楽しかった。
用意された寿司と“ジュース”を飲み食いしながら、何とも贅沢な気分で野球観戦に興じた。

甲子園球場ならではの圧倒的な阪神ファンの声援が渦巻く中、試合は広島が先制する展開。
タイガースも幾度も同点、逆転のチャンスを迎えるが、ことごとくものに出来ない悪い流れ。
その流れを象徴するかのように、試合開始直後から降り出した雨足は徐々に激しくなり、6回終了時点で試合中断……。
普通の観戦時であれば、「ふざけんな」と一方的に天を恨み、あまりに激しい雨の中「帰るしか無い」と諦めるところだが、そこはロイヤルスイート。
降雨中断さえも優雅に眺めながら、なんとか再開してくれと願った。
しかし、願いも虚しく30分ほどの中断の後、無念の試合成立。アンパイアの右手が挙がり、コールドゲームのコール。
ラッキーセブンも迎えられなかったので、用意されていたジェット風船を意味も無く放って、球場を後にすることになった。

本来なら残念極まりないタイガース戦だったが、おそらくもう一生入れることはないだろうVIP席で一時を過ごせただけで、満足だった。
まあだからこそタイガースの甲子園での勝利を見届けたかったという思いも悔しさも強いが……。
ちなみに、ロイヤルスイートのチケットは、プロ野球カード風のプラスティック製のカードになっている。
渡された3枚のカードから僕が選び取ったのは、「真弓監督」のカード。
この敗戦で今シーズンのCS進出はほぼ絶望的。イコール真弓監督の解任もほぼ確定的。
ある意味“記念”になるだろうと思う。

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