“彼”がサッカー日本代表の「エース」だったのは、もう15年近くも前の話だ。
以来、幾人もの才能あふれたプレイヤー達が代表チームのエースとして活躍してきた。
それにも関わらず、日本のサッカーファンは、今なお“彼”を「キング」と呼び続ける。そのことを誰も否定しない。
そして、“彼”がやっぱり「キング」だということを、今夜日本中が再確認した。
『東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ』
この日本のサッカー界が一体となった試合で、44歳の三浦知良が日本代表相手にゴールを決めた。
ゴール前に誰よりも速く抜け出し、GKと対峙した絶妙のタイミングでシュートを放った。
ボールはゴール右隅に突き刺さった。
カズは迷いなくゴール裏に走り、いつものダンスを舞い、力強く天を指差した。
たぶん、この試合を見ていた誰しもが、今夜最も沸いた瞬間だったろう。
僕は思わず涙が溢れそうになった。
試合後のインタビューで“キング”が言った通り、今夜のすべてのゴールは、“みんな”が決めたゴールだろうと思う。
震災後常に一体感をもって今夜の試合を組んだ日本サッカー界、スタジアムに集まったファン、世界中で観戦したファン、その他すべての日本人……“みんな”で決めたゴール。
それにしてもやっぱり「キング」だ。
日本代表は、フルメンバーが集結し、今の「地力」をしっかりと見せつけた逞しい強さを披露してくれた。
一人一人の選手、サッカー協会、Jリーグが今出来る最大限のパフォーマンスを見せてくれた素晴らしいゲーム展開だっただけに、
なおのこと見たかったのは“彼”のゴールだった。
そこで決める凄さ。もう何も言えない。
サッカーの素晴らしさ、スポーツの素晴らしさ。
改めて、ひとつのゴールに歓喜できる「幸福」を心から感じた夜だった。


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