プロ野球のセントラルリーグの開幕が、パシフィックリーグに先立って、29日(25日から順延)に決まった。
大震災の復興の見通しさえもつかない状態でのシーズン開幕に対して、選手会から大いに反発が出た。
選手会会長の阪神・新井選手が憤る様の報道を見聞きして、当初は異論を覚えた。
何でもかんでも「自粛」が先行する風潮の中で、プロスポーツにおいては、プロフェッショナルとしてのプライドを持った対応をしてほしいと思ったからだ。
困難な状況だからこそ、プロフェッショナルのパフォーマンスを見せることによって、様々な側面での“勇気”を見せられることは多分にあると思う。
今なお、その考え自体には、揺るぎはない。
ただ、その比較対象として、プロサッカー界の対応が、際立った。
Jリーグは、地震発生直後に、既に開幕してたリーグ戦を中止し、当月(3月)の試合日程の延期を即座に決めた。
そして、リーグ再開を一ヶ月以上先の4月末の大型連休まで延ばすことを、発表した。
予定していた多くの試合日程は、日本代表戦も含めて、チャリティーマッチに切り替えることも発表された。
その間、各クラブチームの選手・スタッフらは、当然のように街頭での募金活動に参加していた。
海外のクラブチームに所属している日本人選手からも熱いプレーと共に応援メッセージが届き、
彼らが所属するクラブチーム以外の世界中の各チーム及び有名プレイヤーからも、メッセージが届いた。
その姿から、“サッカー”というスポーツが、いかにその拠点とする地域に根ざし、密着しているかということを、改めて認識させられた。
そして、その密着性は、町や県や国を越えて、世界中に通ずる「概念」であることを痛感した。
また、このプロスポーツに携わる人々の、高尚さも見られたと思う。
僕はもちろん野球というスポーツも大好きだし、
日本のプロ野球界に携わる数多くの人が、様々な大きなアクションを起こしていることも重々知っている。
けれど、だからこそ、
サッカーと野球には、それぞれのプロフェッショナルの世界における“一体感”の差を感じる。
皮肉なことだけれど、それはすなわち、
どちらのスポーツが、より「世界」に愛されているかということを、間接的に表しているように思えてならない。
今回の大震災は、ある意味においては、まだまだ「スポーツ後進国」と言わざるを得ない日本において、
数少ない“プロスポーツ”の在り方を問われる機会であり、“分岐点”であることも、また間違いないと思う。
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