ひとりのとき

ラーメンでも食べて帰ろうかと思ったけど、

このところ、特に脂っこいものばかり食べている気がして、

一人で回転寿司に行った。

新しく出来たばかりの全国チェーン店のその回転寿司店は、平日なのに混んでいて、

やっぱりやめようかと思ったけれど、既にすっかり“寿司腹”になっていたので、

整理券を取って待合席で待っていたら、案外すぐに案内された。

変わり種の寿司ばかりをむしゃむしゃと、結局10皿も食べてしまった。

21時過ぎに帰宅して、シャワーを浴びた。

先月の誕生日に友人から貰ったウイスキーの蓋を開けて、

映画を観ようと、HDDに録り溜めている映画のリストをしばらく眺めたが、

何だか映画を観る気分になれなかった。

5年前の正月のお笑い番組を録画していたDVDを引っ張り出してきて、

それを見ながらウイスキーを飲んで、大袈裟に笑った。

そのDVDが終わると、そのまま深夜放送のお笑い番組に移行して、大袈裟に笑った。

0時を過ぎて、そろそろ寝ないとなと思い始めた頃、

買ったままで読んでいなかった漫画を読み始めた。

「西荻夫婦」/やまだないと

「夫婦」はどこまでいっても「他人」だと思う。

そうであるべきだと思う。

「親子」や「兄妹」と違って、絶対的な結びつきなんてなく、常に危うい。

だからこそ良いのだと思う。

ここまで30年生きてきた自分と、これから30年生きていく自分、

漫画の表現を使わせてもらえば、

それは、朝のテレビ小説の主人公と同じように、成長に伴い、あるタイミングでキャストが入れ替わるのかもしれない。

結婚し家族を築くことで人生は安定するなんて古い人間は言うけれど、

別々の人生と人生が重なり合い、そこに更に別の人生が重なり合っていく過程が、安定なんてするわけがない。

きっと「不安定」な状態がずうっと続くのだろうと思う。

バランスを必死に保ちながら、寄り添って生きていくしかない。

楽で楽しいことばかりでは決してないけれど、

僕は、もう一人では生きていけないだろうな。と、思う。

愛妻が居ない深夜に読んだ漫画に出てきた夫婦は、

何気なく繋いだ手の温もりだけで、かろうじて繋ぎ止められていた。

たぶん、「夫婦」という不確かな関係性の中で、それがすべてだろうと思う。

西荻夫婦 (フィールコミックスGOLD)西荻夫婦 (フィールコミックスGOLD)
(2001/04)
やまだ ないと

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あ、何だか意味深だけど、別に問題があったわけではない。あしからず。

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