この12時間の間に直径十数メートル大の二つの小惑星が、相次いで地球の月よりも近い距離を通過するという。
地球への衝突は無いという報だが、ニュース番組のシミュレーション映像に恐々とする僕に対し、
愛妻は全く心配ないとあざ笑ってきたので、「小惑星の恐ろしさを全く分かっていない」と言い返した。
小惑星の衝突によって恐竜が絶滅したというのは有力な説だ。
藤子・F・不二雄作品の愛読者は、殊更に小惑星の脅威に敏感なはず。
短編集に「箱船はいっぱい」という漫画がある。
小惑星衝突の報道に右往左往する一般市民の様をシニカルに描いた傑作だが、
この短編作品のように、実際に恐竜絶滅時ほどの小惑星の衝突が避けられないなんて状況になれば、
きっとその事実は、世界規模のあらゆる手段をもって“ひた隠し”にされるだろう。
全人類を保護するシェルターなんてあるわけがないし、
石油採掘のプロのおっさん達が小惑星を爆破しに飛び立ってくれることも、現実には有り得ないからだ。
現実的に限られた人数を確実に救命するため、出来る限りパニックを起こさせない処置をとるはずだ。
二つの極めて小規模な小惑星が地球にニアミスするという今夜の報。
これが「真実」を覆い隠すための“ダミー”じゃないなんてことは、明日の朝になるまで言い切れない。
箱舟はいっぱい (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉) (1995/07) 藤子・F・不二雄 |
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