ハミルトン島、3日目。
お昼近くまでプールやら海やらで泳いだり、休んだりしていると、
当たり前のようにお腹が空いてきた。
昼食をとるため、ヨットハーバーへ向けてバギーを駆った。
「フィッシュ&チップス」が美味いというファーストフードの店に行き、店の前でヨットとかもめを見ながら食べた。美味かった。
日本というか松山にもこういう店があれば良いのにと思った。
そういえば、昔、海の近くでアイスクリーム屋を開くことが、密かな憧れだった時期があった。
“フィッシュ&チップス”とアイスクリームを合わせて店を開けば、場所によれば儲かるかもしれない。
ファーストフード店の3軒隣の酒屋でワインを買って、ホテルに戻った。
ホテルに戻るなり、満腹の愛妻は昼寝を始めた。
このように書くと、我が愛妻は常に眠っているようだが、僕は決してそれを否定しない。
なぜなら、ハネムーンの行き先でこの島を選んだ理由は、第一にリラックスするためだからだ。
食べて、眠って、海を見る。
その繰り返しで良い。そういう時間を共有することこそが、ハネムーンであり、結婚というものだと思う。
とは言いつつ、せっかく来た旅先で眠っていられる程、豪快な精神を僕は持ち合わせていないので、
風が吹き抜けるベランダで、一人まったりと読書をすることにした。
ロゼワインと唐辛子が入った激辛チップスを片手に、
羽田空港で買った伊坂幸太郎の「終末のフール」の文庫を読みふけった。
世界の終末と、その中で生きる人たちの人間模様を独特の“救い”をもって描写した物語は、
自分の「日常」ではない空気の中で読むにふさわしいように思えた。
日が傾きかけた頃、愛妻が起きてきた。
ふと見ると、ビーチが干潮で沖合の方まで歩けそうだったので、散歩に出掛けた。
松山に住んでいても近場の海にたまに行くが、夕刻の潮がひいた海が好きだ。
干潮の浜辺を波がうっすらと流れていく様子を見ると、何だかとても安心する。
砂の中に見え隠れするヤドカリを探したり、石を拾ったりした。
極めてまったりとした午後の時間が過ぎた。ただ、これこそが自分たちが望んだハネムーンだと感じた。
この島も翌日の午前中にはサヨナラ。それを思うと、無性に寂しくなった。
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