「うたかた。」というCoccoの曲がある。
高校の2年生の時だったと思うが、とても寒い季節の部活帰りにイヤホンから流れるこの曲を聴いていて、
夕方と夜の間の河川敷で、一人泣いた。
別に悲しいことや辛いことがあったということでは無かったと思う。
ただ目の前の風景と、注ぎ込まれる旋律に無性に感極まった。
以来、この曲は非常に感慨深い一曲となり、なんとなく物憂げな状態になると聴きたくなる曲となった。
これまでに幾度となく聴いた。
でも、聴いていて涙が溢れ出たのは、あの寒い河川敷で聴いた一度きりだ。
たぶん、もうあの時と同じように涙が出ることはないのだろうと、思う。
それが、あの瞬間の「価値」で、それを今同じように見出すことは出来ない。
ただそれは、失ってしまったとか、あまりに遠く離れてしまったということではなくて、
あのときあの瞬間に感じたことが、すべてなのだと思う。
そして、たまにこうやって思い出すことが、また「価値」になるような気がする。
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クムイウタ (1998/05/13) Cocco |
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