バンクーバーオリンピックでは、それほど話題にはのぼらなかったけれど、
スキージャンプの日本チームは、「健闘」という結果を残したと思う。
もちろん、世界のトップ・オブ・トップとの差は歴然としており、現時点で「金メダルを狙う」というのは、正直おこがましい。
ただ“栄光の長野五輪”以降の超低迷からは、確実に復活の道を開いていた。
スキージャンプは、数多のスポーツ競技の中でも、指折りの特異な競技だと思う。
何度テレビ中継を見ても思うが、100メートル級のジャンプ台からスキー板のみで飛び出し、
ただ“飛ぶ”という行為は、常軌を逸している。
もちろん尊敬を込めて、どういう神経をしているのだろうと思ってしまう。
一説では、そのルーツは罪人の処刑行為の一つだったとも言われる。
やはりある種の「魔力」を秘めたスポーツなのだと思う。
そのスキージャンプの魔力にとりつかれた競技世界での“殺人事件”を描いた小説を読んだ。
東野圭吾/「鳥人計画」
一人の天才スキージャンパーが突然謎の死をとげる。
競技関係者の中に潜む真犯人と、事件の真相が、東野圭吾らしい“謎解き”の中で描き出されるのだが、
選手をはじめとするジャンプ競技にまつわる人々の独特の精神世界と、ドーピングを含めたスポーツにおける科学介入の是非を織り交ぜた展開が、とても興味深かった。
アスリートそれぞれの精神世界を想像すると、スポーツはまた違った面白味を見せると思う。
鳥人計画 (角川文庫) (2003/08) 東野 圭吾 |
ちなみに、「鳥人計画」を“とりじんけいかく”と読んでしまうと、一気に漫才のネタ帳みたいになってしまうので注意。
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