11月14日 #1

僕と彼女は、俗に言う「雨男」であり、「雨女」だった。

残念ながら、それは自他ともに認めるところだった。

そんなわけでというわけではないけれど、

当日の天気もそれほど期待はしていなかった。

“晴天”なんて恐れ多い、式後の十数分間だけ雨さえ降らなければ。。。という感じだった。

実際、それはリアルなところで、

ほんとに天気なんて悪くていいから、当事者をはじめとする出席者の“健康状態”の方がよっぽど心配だった。

んで、前日。案の定、天気は思わしくない。

雨が降りしきり、おそらくは翌日まで雨は残るだろうという“公式”な予報。

「まあ、仕方ないよね」と、諦め、意外に簡単に眠りに落ちた。

もっとゆっくりしていいはずだったけれど、案の定いつもよりも早く目が覚めた。

新居で一人目覚め、しばらくぼやーっとテレビを見ていたのだけれど、

猛烈に腹が減ってきて、徒歩1分のコンビニに歩いた。

「腹が減っては戦は出来ぬ」と意味不明に思い立ち、

早朝から、“明太子スパゲティー”を買った。

ふと空を見上げると、とっくに雨は上がり、

薄い曇り空が、西から東へ逃げていくというような様が見て取れた。

西の空を見ると、すっかり晴れている。

「参ったね」とほくそ笑んだ。

朝食の明太子スパゲティーを平らげた後、徒歩2分の実家へ。

実家では、家族の皆さんがいそいそと着飾っている。

それをまるで他人事の様に横目にして、家族総出の外出に対していつものように警戒しているピノコと戯れた。

昼前、式場に到着。

前日までの予想に反して、馬鹿みたいに晴れ渡っている。

しかも、ただの晴天ではなくて、少しばかり残る“雲”のカンジまでも自分好みときている。

何となくだけれど、そういう予感はしていた。

「出会い」からしてそうだ。

“成る時は、成る”んだと思う。

二十数年生きていきて、なかなか楽しく生きてきているつもりではあるけれど、

それでも結局は、自分の思惑と反して、ウマくいかないことの方が断然多い。

ただし、この2年間、“僕と彼女”のことに関しては、

我ながら驚くほどに、すべてにおいて“スムース”だったと言える。

もちろんそれは、当事者である自分たちの然るべき言動があったからこそだと、自認はするけれど、

それと同時に、何らかのチカラが作用しているとは思う。

そういう感じで、待ちに待った本番当日を迎えた。

そして、家族待ち合いで式場のロビーに入った直後、

トイレに行って、とりあえず吐いた。

→つづく

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