夏が終わる【改訂】

強烈なライナーが、三塁手のミットにおさまった。

甲子園、決勝戦。日本文理(新潟)×中京大中京(愛知)。

最終回、10-4で中京大中京が6点リード。追う日本文理。

これほどまでにドラマチックな9回表は、なかなか見られない。

「野球は2アウトから」なんてことをよく言うが、それを目の当たりにすることは、ほとんどない。

しかし、

今日は2アウトからの猛追が、月曜日にも関わらず満員に埋まった甲子園を沸かした。

“粘り”という言葉がこれ以上ふさわしい様もない。

絶対的な劣勢、大きなプレッシャーの中での日本文理ナインの連打には、

高校野球の醍醐味が溢れていた。

そして、「勝負」という厳しい現実の中で、これほど両チームが報われる試合もあまりないと思う。

中京大中京(愛知)10-9日本文理(新潟)

ゲームセット後の、互いを讃え合う両チームの選手らの笑顔が印象的だった。

いいものを見せてもらったと思う。

これまでは高校野球に対して、それほど感慨深いものは無かったのだけれど、

なんだか今年は、見ていてグッと来るものが大きかった。

歳をとったということか……。

甲子園からの爽やかな風とともに、夏が終わっていく。

短い夏。まあそれもいい。

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