5月も半ば。土曜の夜。
街の居酒屋で、彼女と友人とで飲んだ。
飲んで、酔って、「失敗したな」と思うことは多々ある(というかそういうことばかりだ)けれど、
総じて、そういうことは悪いことではないと思っている。
酒席の失敗で、すべてが台無しになるとしたら、それはどの道ウマくいかないことだ。
暴論かもしれないけれど、あながち間違ってはいないと思う。
帰宅し、インスタントの味噌汁と夕食の残りらしいパック寿司を食べた。
例によってテレビが映らないので、携帯電話のワンセグを起動させると、
広島の地方局のバラエティー番組が流れた。
なんとなく見始めると、意外に面白くて最後まで見てしまった。
番組が終わったので、チャンネルを変えると、
若いトム・ハンクスが、こちらも若いダン・エイクロイドと共演している映画が映った。
昨日、トム・ハンクスの最新主演映画を観たばかりだったので、殊更に新鮮だった。
ネットで調べてみると、それは22年前の映画だった。
22年前のトム・ハンクスは、将来自分が2度も(しかも2年連続で)アカデミー主演男優賞を獲得するなどと想像しただろうか。
一介のコメディ俳優がハリウッドきっての大俳優と成ることも、
その様を映画を通じて目の当たりにすることも、
小さな島国の飲み屋で酔っ払って感情的になることも、
たまたま見たちっぽけなバラエティー番組にほんの少し感動することも、
根本的に秘める「価値」にそれほど大きな差は、実はないのかもしれない。
知らない人は一生知らないだろうし、感じない人は何も感じない。
詰まるところ、すべての物事は個々人の「価値観」に委ねられる。
人類という種。その各個が持つ「価値」。
その事実以上に素晴らしいことは、実際無い。
なぜなら、すべての「素晴らしいこと」は、そこから始まるからだ。
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