「篤姫」

081216

幾度かこの「ひとりごと」にも記してきたが、

今年の大河ドラマ「篤姫」は、面白かった。

先日の日曜日が最終回の放送で、幕末の動乱を大奥の中から見つめ続けた一人の女性の物語は大団円を迎えた。

どう転んでも“ドラマ”である以上は、ここで描かれた物事がすべて「事実」ということは決してないのだろうが、どう転んでも“歴史”である以上は、完全な真実を捉えることは不可能で、これも一つの事実として受け取るしかないと思う。

日本という国の存在自体が揺れ動いた「幕末」という時代の出来事だからこそ、そこには正義も悪もなく、それぞれの人達が、それぞれの信念を持って生き抜いたのだなということを、総じて感じた。

天璋院しかり、小松帯刀しかり、西郷隆盛も大久保利通も徳川慶喜も井伊直弼も……、どの人物にもドラマがあり、誰の視点に立つかで、物事の価値観というものは大きく変わってくる。

それはよくよく考えれば当たり前のことなのだけれど、「歴史」という一側面の視点から見がちなモノに対しては忘れがちなことだ。

今回の大河ドラマにしても、ドラマ上では必然的に薩摩藩や大奥の描写が圧倒的に多い。
が、当然ながら、同じ時間の中で長州藩や新撰組や朝廷、また他の各藩においても、多くの人達が同様に「幕末」を生き抜いたわけで、そこには無数の価値観があったはずである。

詰まるところ、「歴史」は様々な場面において紡ぎ出され続けるが、それに対する価値観もまた多岐に渡るに然るべきだと思う。

それこそ、人の数だけ歴史は存在するわけで、その一つ一つをすべて把握することなどは不可能だが、決して一つの事実に固執することないように、歴史を知っていきたいと思った。

そもそもは明らかに「宮崎あおい」目当てで見始めたのだが、次第に幕末の動乱を大奥からの視点で描き連ねた群像劇に、ぐいぐいと引き込まれていった。

幕末の隠れた偉人・小松帯刀を演じきった瑛太をはじめ、他のキャスト陣の熱演があってこその完成度の高さだったと思う。

素晴らしいドラマだったと思う。

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