始発電車

土曜日。

「飲み」が、ひとつのエンタテイメントである僕にとっては、誰かしらと飲む約束が取れると、とても有り難い。

今宵も、なんとか約束を取り付けて、街へでかけた。

雨が降りしきっていたので、街へは電車で行くことにした。

最寄りの駅に着いて気付いた。

小銭が150円しかない。(あとは一万円札)

普段、電車に乗り慣れていないので、こういう時は少々焦る。

冷静に立ち返って、行き先で乗り越し運賃を払うことにした。

なんのことはない。

そうして、ひとしきり飲んだ帰路。

飲み尽くして、持ち合わせはほとんど無くなっていた。

宵越しの金は持たぬと言えば恰好良いが、タクシー代もなく、始発を待って、再び電車で帰らなければならない。

冷たいプラットホームで始発電車を待って、乗り込んだ。

当然ながら、すこぶる眠い。
出発するまでの間、しばし目を閉じた……。

ふと、「松前、松前~」と聞き慣れないアナウンスが聞こえる。

…………。

見事に乗り過ごした…。

地方の路線電車というものは、便数が多いものではない。
特に始発時刻となると、相当待たなければならないのは、必至。

結局、終点まで乗って、折り返すことにした。

まったく、日曜の朝一からとんだことだ。

普通なら、行くこともない終点駅は、始発ということもあり、閑散としていて、とんでもなく遠くに連れて行かれたようだった。

ただ、こんな日曜日の始発でも、乗り込んでくる学生やその他の人々はいて、

うつつの中で、えらいねえと思った。

そんなこんなを覆い尽くして痛感したことは、11月の夜明け時候は、もはや寒くてたまらないという事実。

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