蜘蛛は嫌いだが、彼らが織りなす蜘蛛の巣の緻密さは物凄いと思う。
虫嫌いなので何の遮りもなく間近で凝視するなんてことは不可能だが、時々、部屋の窓の外に蜘蛛の巣を張る蜘蛛を見つけると、ずっと見ていてもなかなか飽きるものではない。
今朝、会社に向かう車中でふと脇を見ると、サイドミラーから運転席のドアウィンドウに沿って蜘蛛の巣が張ってあって、巣の中心で主人である蜘蛛が走行中の風圧で今にも吹き飛ばされそうになっていた。
もうめちゃくちゃに風に煽られているのに、蜘蛛の巣はギリギリのところで保たれており、結局その蜘蛛が吹き飛ばされることはなかった。
何年か前の夏、部屋の窓のすぐ外で、蜘蛛がまさに今巣を張り巡らせていた。
特にやることもなかった僕は、ずっとその様子を見ていた。
緻密で正確な動きで、みるみるうちに巣は完成していき、見事な八角形の中央に蜘蛛がおさまった.
その様がとても神秘的で芸術的だった。
本質的な生命の営みというものは、何の装飾も必要なく、ただ素晴らしい。
帰路。気づくと蜘蛛は巣を残して消えていた。
すると、残された蜘蛛の巣は、主人が君臨していた時の強固さを無くし、みるみるうちに風圧でほどけていった。
必要性がなくなれば、潔くその存在を無くしていく。
それが自然の摂理というものかもしれない。
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