終電近い電車の中

五線譜の中の八分音符のように、電線の間に三日月が見える。

お酒を飲むようになり、飲酒運転の取締りが厳しくなり、電車に乗ることもしばしばある。

今夜も会社の飲み会の帰り(と言ってもまともに飲んでいるのは自分と社長くらいだが)終電一本前の電車に乗り込んだ。

時間的なこともあり、地方の郊外電車としては乗客はとても多い。東京の私鉄で言えば、平日の昼過ぎの普通電車くらいなものだが……。

まわりを見ると、サラリーマンらしいスーツ姿の男性の姿も多い。

そういえば子供の頃、「なんでオトナのヒトは、夏でもスーツなど着込んで平気なのか?」と本気で疑問に思った。

雨の降らない蒸し暑い梅雨時季に、ばっちりスーツ姿の自分が、なんだか可笑しかった。

似たような事だと、寒くて眠れない幼少の真冬、「なんで両親の眠るフトンの中は、暖かいのか」ということも、本当に不思議だった。

そういう“疑問”や“不思議”が、いつの間にか当たり前のことになっていて、それに気づいた時、哀しいような、嬉しいような、ヘンな気分になった。

午後10時を過ぎたオトナの疲労感が漂う電車の中に、塾帰りであろう小学生の姿が多く見られた。

あまり良い光景ではない気がした。

が、それが果たして正しい姿なのかどうか、正直よく分からない。

この被告は、本当に最低な人間だと思います

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