「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」

2012☆Brand new Movies

 

※感情にまかせて激しくネタバレしております

絶望感しか覚えなかった「3」、そしてやはり失笑することしか出来なかった先だって放送された「THE LAST TV」を観て、決して“希望”なんて持たずに“事故り”に行ったのだから、怒りなどしない。
ただただ、面白くなかった。それだけのこと。

と、このシリーズのファンでなければ端的に割り切れられるのだけれど、やっぱりそうもいかない……。
冷静に振り返ろうとすればするほど、あまりのお粗末さに怒りと呆れを禁じ得ない。
シリーズを通じて15年の長きに渡り、同じ俳優が同じキャラクターを演じ続けているのに、「3」も含め、揃いも揃ったキャラクター達に、かつてあった「魅力」を微塵も感じることが出来なかった。

シリーズが長い年月に渡った故の必然的な老いや喪失が、影響していることは仕方が無い。
ただ問題はそういうレベルのことではない。キャラクターに魅力が無いのは、俳優達のせいではない。
間違いなく、監督と脚本家とプロデューサー、この3人のせいだと断じてしまって構わないと思う。
「3」の時にも大いに感じたことだが、このシリーズを生み出したのはこの3人であり、このシリーズを味がなくなるまで節操なく噛んで吐き捨てたのもこの3人である。残ったのは、悲劇的に無惨な食べカスだった。

問題点なんて挙げれば本当にきりがない。
最も強く感じたことは、展開があまりに“ウマくない”こと。そしてそれに伴って、オイシいキャラクターが一人も居ないということだ。
それらこそが、かつて夢中になった「踊る大捜査線」というシリーズの最も愛すべき要素だったと思う。
よくよく見れば、設定は荒唐無稽だし、ストーリーそのものに粗は多い。
けれどそれらを蹴散らしてまかり通す絶対的な“娯楽性”、それこそがこの映画世界の揺るがない魅力だった。
逆に言えば、そういうものがない「踊る~」など、ただ享楽的で無責任な“刑事ドラマ”に過ぎず、そりゃあ「駄作」になるしか道はない。

少し踏み込んで言及するならば、“犯人”となる3人のキャラクターが可哀想なくらいに祖末過ぎる。

まず小泉孝太郎演じる”小池”。
はっきり言って、シリーズを通じて観てきた者にとって、事情があるとはいえ犯罪に加担してしまっているという展開はショックである。
そんなショックを押し通してまで犯罪者の役割を担わすのであれば、過去の事件において失望しいまや署長に成り下がってしまっている(?)真下と“交渉人”としての対決シーンを挟む等、何らかの“見せ場”を用意してほしかった。あんな宙ぶらりんな感じでは、15年レギュラーキャラクターとして存在し続けた真下的にもあまりにオイシく無さ過ぎる。

続いて、シリーズ初出演の香取慎吾演じる“久瀬”。
同シリーズにおいてSMAPメンバーの犯人役といえば、すぐに稲垣吾郎が思い起こされる。湾岸署を占拠するジャンキーを見事に演じていた。
どこかのパラレルワールドでは“両津勘吉”を演じるアイドル俳優を、全く正反対のナイーヴな実行犯にキャスティングしたことは面白い。だがあまりにキャラクターとして中途半端。というか、出演シーン自体が少な過ぎるんじゃないか。
最終的にもっと「狂気」に走らせて良かったし、吾郎ちゃんばりにそれが出来る力量は持っていると思う。

そして、前作に引き続き小栗旬演じる影あるエリート“鳥飼”。
彼に与えられたキャラクター性は前作からも明らかで、「正義」に固執するあまり脱線暴走してしまう警察官僚という存在性は、警察組織の在り方を描いてきたこのシリーズのラストに相応しいと思えた。
小栗旬もそれなりに頑張っていたとは思う。しかし、いかんせん描かれ方が薄過ぎる。
「ダークナイト」の“ジョーカー”ばりの存在感を備えろとは言わないが、せめてもう少し行動原理に説得力と深みが欲しかった。
「正義」をまかり通すためならば、青島や室井を貶めることだって厭わないという言動はいい。ただその先には、自分の策略を超えて彼らが「信念」を貫き通すことで辿り着く「結末」まで、深層心理の中では想定しているくらいの人間としての深さを描いてあげて欲しかった。
そういう描写が無く、ただ室井や青島にちょろっと言いくるめられて終わりでは、あまりに寂し過ぎた。

犯人役を演じたこの3人に限ったことではないが、演じた俳優が可哀想に思える程に見せ場が無く、薄っぺらなキャラクター描写が、この映画における最大の「敗因」であり、それを通したシリーズの“創造者”たちが諸悪の根源であることは間違いない。

ああ、長くなった。
ラストの阿呆みたいな仰天シーンや、室井にギャグ的台詞を連発させる愚かさ等、他にも言いたいことは尽きないけれど、そろそろ終えて、この最後の2作品の存在を忘れて、15年前のテレビシリーズから今一度見直したい。
今作における唯一のハイライトは、過去作のシーンを羅列したオープニングタイトルの高揚感のみだ。

「踊る大捜査線」の大ファンだからこそ敢えてはっきり言う。
きっぱり「駄作」、「希望」はない。

 

「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」
2012年【日】
鑑賞環境:映画館
評価:1点

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