良くない映画

珍しいことだが、「面白くなかった」映画の話をしようと思う。

ついさっき「ミリオンダラー・ベイビー」という映画を観た。

昨年のアメリカアカデミー賞の主要部門を制した作品である。

ふれこみでは、この映画に描かれているものは、深遠な人間愛だそうだ。

が、この映画で描かれるものは、人間の愛などではない。

描かれているのは、卑怯で臆病な人間の闇だ。

世の中の多くの人間は、苦境の中で生きていると思う。きっと、人生において何も問題なく生きている人間なんていないと思う。

極論すれば、「暗い闇の中で光を求めて生きている」と言っていいと思う。

しかしそれは、「一度光を手に入れたなら、もう満足して残りの人生を手放してもいい」ということではない。

輝きが自分の元から離れ、耐え難い苦難の人生になったとしても、生き続けなければならない。

生きつづけることこそが、光だからだ。

この映画は、そういうことを軽々しく否定する。

「人生を諦めること」を美化しているこの映画の罪は重い。


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