哀しい。哀しすぎる哀しさではない。でもだからこそ尚更に哀しい。
“愛する”という感情の動きは、時に衝動的で時に動物的なものだ。到底理屈ではないものだ。そういった人間という生物の根底にあるものを、この映画は突き詰めていく。
主人公たちそれぞれの行動を明確な言葉で理屈付けるなどナンセンスだ。
でもそこから伝わってくる“紛れも無い想い”に陶酔する。ラストに訪れるめくるめく感情の倒錯の中で、ひたすらに切なさが募っていく。
規制されつくした世界の中で、欲望を主張し感情の自由を求めて逃げ出す二人……そのままに終わりを見せない二人の“感情の終着点”が見事だ。
想うほどに余韻が膨らむ傑作である。サマンサ・モートン凄い。
「CODE46 Code 46」
2003年【英】
鑑賞環境:DVD
評価:9点
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